錫杖頭は明治40年7月、参謀本部陸地測量部員の故柴崎芳太郎氏が、人跡未踏と信じられていた剣岳頂上をきわめたおりに、山頂で発見されたものである。 錫杖頭は長さ13.4cm、輪経10.9cmのうちわ状の輪郭をしており、輪の下部は内側に巻込み蕨手になっている。細部は欠落して環も失われているが、全体的に古拙で力強い感じがする。 鉄剣(鎗の穂?)は、長さ22.6cm、茎長2.0cmの両刃造りである。いずれも奈良時代後半から平安時代初期の作と推定されている。同時期の錫杖は全国に10点前後しかなく貴重なものである。