北九州市の成人式はド派手な衣装の新成人が多数集まる。そうした衣装は地元にある「貸衣装店みやび」の池田雅さんたちが手作りしている。一部の住民には問題視され、市に「不適切な服装」と陳情書を出されたこともある。それでも池田さんたちは衣装作りをやめなかった。なぜなのか。フリーライターの宮﨑まきこさんが取材した――。 【写真全27点】リーゼント、サングラス、ド派手な衣装…これが北九州の成人式。 ■「北九州の恥」と言われた貸衣装店主 成人式を2カ月後に控えた2023年11月9日、北九州市小倉北区「貸衣装店みやび」本店。店名が書かれた重い観音扉を開けると、衣装ケースの壁に視界が覆われた。 一つひとつの箱には、2カ月後に着物に袖を通す新成人の名前が書かれている。店内はショールームというより倉庫のようだ。足元から天井まで積まれた衣装ケースに窓からの日差しが遮断され、蛍光灯の明かりだけが局所的に店内を照らして