新元号と文字コードの国際標準を巡って 一般社団法人文字情報技術促進協議会:小林龍生(こばやしたつお) 2019年は、平成最後の年として始まり、令和元年として暮れようとしている。本論では、新天皇即位に伴う平成から令和への改元に係わる国際符号化文字集合UCS(ISO/IEC 10646:Universal Coded Character Set)(1)とUCSに対応する民間標準規格ユニコード(Unicode Standard)(2)を巡る2つの話題について論じる。 1. 令和の合字について 活版で印刷された新聞や書籍を見ると、しばしば、1字分のスペースに、複数の文字を鋳込んだ活字を目にすることがある。いわゆる合字と呼ばれるもので、リガチャーとも呼ばれる。 ただし、欧文のリガチャーは、羊皮紙本の写本などで用いられていた複数のアルファベットの簡略筆写法の残滓としての意味合いが強いが、日本語活字の合