徳田虎雄。その名を聞いたとき、どのようなイメージが思い浮かぶだろう。医療に風穴をあけた風雲児、潤沢な資金をバックにした金権政治家、あるいは、難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う患者だろうか。それは世代や立場によって大きく異なってくるに違いない。いや、そもそも若い人には、その名さえ知られていないかもしれない。 まったくの徒手空拳から、昭和48年、大阪の松原市に建設した徳田病院を皮切りに、徳洲会病院を全国に開院。「徳洲会事件」によりすでに経営者の座を追われたといえ、71の病院と約3万人の職員を擁し、グループ全体で4,200億円もの売上げを誇る、日本最大にして世界屈指の病院グループの礎を築いたのが徳田虎雄だ。 その一代記であるこの本、面白くないはずがない。まずは冒頭のシーンで度肝を抜かれる。医療界の話のはずなのに、山口組傘下のヤクザ-警察がいうところの暴力団-の「事始め」の儀式から始まるのだ
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