2014年の年末、外食に出かけた。まだ昼前ということもあって店は空いていた。店の真ん中あたりの席に案内された。私はメニューをさっと眺め、直感で料理を決めた。いつもの優柔不断さは微塵もなかった。 店が徐々に混み始めたころ、料理が運ばれてきた。 それは親子丼。 カツ丼でも天丼でもなく、親子丼。 私が食べたかったのは親子丼だった。 静かにゆっくりと噛み締めながら食べた親子丼は、舌の上でガッツポーズしては小躍りを繰り返すような美味しさだった。 私はたまにしか外食をしない。外食は一年のうち10回くらいだろう。年末の最後の外食をこんなに美味しいものでしめくくれて本当にラッキーだった。幸福の親子丼。2014年はつらいことがあった年だったけれど、神様が年の最後にご褒美をくれたかのように思えた。「よく頑張ったね。美味しいものを食べなさい、これで元気になりなさい」と。 年が明けて、また親子丼が食べたくなった。