文 梶本時代 つらいことが起きた。憤りを感じた。体や心に不調がある。周囲とすれ違ってしまう――。 日々生活を送ったり、働いたりする中で遭遇する、いろんな「上手くいかない」場面。やり過ごせることもあれば、感情を大きく揺さぶられ、どうにもならなさを感じることも。 今回、寄稿いただいた梶本時代さんも「自分の感情」との向き合い方に試行錯誤している一人。一般的に「医療職と相性が悪い」とされている注意欠陥・多動性障害(ADHD)を抱えながら看護師として働く梶本さんが、自身の体験を通じて感じた「『頑張らない』を頑張る」ことの大事さをつづります。 ***新型コロナウイルス感染症と長い梅雨に苦しめられた2020年の初夏、私の窮地を救ってくれたのは「努力して休む」という考え方だった。 私は関東の中規模病院に勤めるアラサー看護師だ。中学生の頃、脳の病気で入院したことをきっかけに看護師を志し、現役で専門学校を卒業