会社の悪口で盛り上がっていた仲間と袂を分かち、裏切り者の名を受けて、会社の忠犬になる。そんな今の僕の心境がわかるのはキムタクくらいのものだろう。今夏より部長になった僕は事業全体のリストラに取り組んでいる。粛々とデスノートに仲間の名を書き記す胃の痛い作業。恥部に残る仕事。きっつー。同族経営の弊社において僕が事業部のトップに登用されたのは抜本的徹底的な「聖域なきリストラ」を敢行するため。ということになっているが実のところ、リストラを敢行したいが憎まれたくない、憎まれ役は外様の人間でいい、というボスの男気の産物にすぎない。 スタッフの仕事を精査するために毎日現場を訪れている。権力志向の薄気味悪いオバはんを除けば、親しかった仲間はどこかよそよそしいし、露骨に避ける者もいる。統括管理する立場になった僕を畏怖し、陰で「トンカツ」「ポンコツ」という敬称で僕を呼ぶ者がいるのも知っている。とても悲しい。築き