好きな作家さんの個展を観たくて千駄木まで出かけた。 引きこもり体質の私にしては大冒険だ。 どうしても生で近くで観たかった。小さなギャラリーで今週末には終わってしまう。週末は家族の動きに合わせたいので行くなら今日しかない。 乗り換えナビと地図を何度も確認した。 降りた駅は初めての街なのになぜか親近感がある。 結婚するまで住んでいた神保町と下町っぽさが似ているのだ。 住宅と商店街とビルと道路と細い路地。その混じり合い方のバランスが懐かしい。 草履を履く住人、家の前を履くおじいちゃん、昼休み終わりで足速な背広の若者。 小さな滑り台ひとつだけの公園。神社。掲示板。 歩いているだけで気持ちが弾む。 来てよかった。来てみてよかった。 個展を観てポストカードを買う。 レジ近くの入り口にニット製品が並ぶ。 手編みで、幾何学模様が織り込まれている。 こういうのを探していたんだ。映画で外国のおばあちゃんが着て