「拙速、安易ではないか」「手続きが民主的でない。合意形成がおざなりだ」 昨年11月16日夜。県教育委員会が、その9日前に県立図書館(横浜市西区)、県立川崎図書館(川崎市川崎区)の閲覧・貸し出しサービスの廃止を打ち出したことを受け、横浜・関内のビルの一室に図書館の常連利用者ら約30人が集まり、公開座談会を開いた。 「古い本のにおいをかぎながら図書館に一日いると、何かが分かった気がする」。参加者の一人は言った。図書館の建物に入って、書棚に並ぶ本の背表紙を見回し、手に取ってその場でページをめくり、気に入ったら借りて帰る、という一連の経験。「閲覧、貸し出しの廃止」は、それができなくなることを意味する。 とりわけ行方が案じられているのが県立川崎図書館の存在だ。1万6千冊という国内随一の社史コレクションをはじめ、科学技術の専門書がそろっている。 同館を拠点に、京浜地区の民間企業など96団体が技