<ボクシング・チャンピオンであると同時にイスラム教徒で人権活動家だったモハメド・アリは、紛争と差別に苦しむイスラム諸国共通の英雄でもあった> ボクサーのモハメド・アリが6月3日に亡くなった。アリはイスラム教に改宗した最も著名なアメリカ人アスリートとして、イスラム教徒のファンたちの大きな共感を呼んだ。したがって、パキスタンからバングラデシュ、チェチェンにいたるイスラム世界の政治指導者たちがアリの死を公然と悼んだとしても、驚くには値しない。 なかでも2人のイスラム国家元首──ヨルダン国王のアブドラ2世とトルコ大統領のレジェップ・タイップ・エルドアンは、イスラム世界におけるアリの重要性を示すため、6月10日にアリの故郷であるケンタッキー州ルイビルで行われる葬儀で弔辞を述べることになっていると、遺族のスポークスパーソンであるボブ・ガンネルは言う。葬儀はあらゆる宗教・宗派の違いを超えたものになる。