社員として採用する企業の側から見れば、「大学で何を学んだか」が学生を選ぶ判断基準にまったく入らないということになる。容姿と大学の偏差値だけで勝手に決めているのが現実だ。 私が客員教授として5年間見てきた経験からいうと、学生の意識や雰囲気が変わってくるのは4年生になってから。この状態を見ないで採用を決める現在の企業採用はやはりおかしい。 昔の採用は4年生が対象で、どの教授のゼミに入っていたかというのが、一つの採用基準になっていた。例えば、政府税制調査会会長を長く務めた慶応大学の加藤寛教授(現・嘉悦大学学長)のゼミにいた学生なら、大手都市銀行や証券会社は安心して採用することができたようだ。学生本人の能力が未知数であったとしても、教授の理論や、ゼミでの厳しい経験を通して「このゼミの学生なら、うちの会社に必要だ」と判断できる。最近の3年生は、就活を優先して、厳しいゼミに入らない。 当たり前のことだ