中国チベット自治区は、成立から50年を迎えた。習近平(シーチンピン)指導部は共産党がもたらした「豊かさ」と民族の団結を訴える一方、宗教への介入を強める構えだ。チベット族居住地域を訪ねると、信仰と民族の誇りを守ろうとする人々が抑圧への抵抗を続けていた。 1965年9月1日、チベットで初めての人民代表大会(議会)が開かれ、自治区が成立した。50年を祝う式典には党指導部メンバーが出席し、自治区の発展と民族団結の必要性をアピールする見通しだ。 同自治区は新疆と並ぶ中国の民族問題のアキレス腱(けん)だ。党は8月末、チベット政策を固める重要会議「中央チベット工作座談会」を5年ぶりに開催。習主席は手厚い経済優遇策を続ける姿勢を強調した。 しかし、インフラや人材などの不足から国営メディアも今後の成長には悲観的な見方を伝える。発展という「アメ」に限界が見える中、座談会で習氏は「寺院の管理システムの建設を進め