最近、障害者権利条約関係で「合理的配慮」という言葉をよく聞くようになりました。これはもともと「社会モデル」から来ている概念で、現在のわが国の議論も「社会モデル」の流儀のものが多いようです。しかし、現在、ICFでは「医学モデル」と「社会モデル」の対立を超えて個人と環境の相互作用による生活機能観が示されているのだから、ICFの観点から、合理的配慮を考えてみたいと思います。 合理的配慮(Reasonable Accommodation) 1990年のADA(障害のあるアメリカ人法)で一躍有名になった概念で、障害のある人の場合、環境整備や配慮等がないと能力自体が発揮できないことがあるので、能力評価の前提として、必要な配慮を行うのは社会的責務であるということです。 「差別禁止」と言っても、「あの人は仕事に必要な能力がないから採用しないだけで、他の人と公正な競争での選考を行っています。」という理屈で障