「地権者には親族が失敗したりして、借財もあるんでしょうが、どういう財政事情か知りませんが、石原さんになら売ってよいとおっしゃっていただいた」 石原慎太郎知事はこれまでの定例会見でこう語っていた。5日には「(地権者が)ちょっと変なことを言い出した」と話し、数日前に電話で話した内容を説明。「『前の地権者から、(尖閣諸島には)何もしないでくれと言われた』ということだった。これまでは漁民のために役に立てばいい、と言っていたのだが」といぶかしんだ。 関係者や登記簿によると、ある金融機関は地権者の不動産に極度額20億円以上の根抵当を設定。負債が売却の原因になった可能性もうかがえる。 関係者は「必要な金があり、議会を通すという都の手続きは待てないということか。政府は地権者が必要な金額を調べ、その額を提示したのだろう。20億円ではなく、20億5千万円という額が物語っている」と推測した。