南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! とても失礼な言い方で申し訳ないが、まさか柳内大樹の作品で泣かされるとは思わなかった……。本当に失礼な話ではあるんだが。 今年の初めに二冊同時刊行された『軍艦少年』(講談社 全二巻)である。これにやられた。泣いた。哀しくも叙情的で、緊張感にあふれた青春物語だった。 柳原大樹といえば、不良少年バイオレンスものの『ギャングキング』(少年画報社)が有名だ。累計八百万部(!)を超える大人気シリーズだが、あちらはまったく手が合わなかった。もっと言えば、げんなりしていたというべきか。 『ギャングキング』は、表紙なんかにタトゥーだらけの不良少年がでっかく描かれているが、ひじょうに道徳的で正しい内容である。彫り師を目指す少年の青春ストーリーだが、人間的にもでっか