イラスト 小幡彩貴 ラクダ肉は中東やアフリカでも決して一般的な食材ではない。 妻とチュニジアに行ったときも探すのに苦労した。レストランや食堂のメニューには全く存在しない。そこでトズールという砂漠の町へ行ったとき、途中のバスで知り合ったブバケルという若者に「調理してほしい」と頼んだ。 トズールに朝、到着すると、さっそく市場へ。生きたラクダが食用として売られていたが、ほとんどが頭の高さが二メートル未満の仔ラクダ。訊けば、一歳が日本円で約四万八千円、二歳が六万円とけっこういい値段。さすがに一頭買うわけにいかないので、肉は肉屋で購入。一キロざっと五百六十円。この肉をいったんブバケル君に預けた。 ラクダの肉は存在感大 昼頃、彼の自宅を訪問すると、お母さんがラクダのクスクスを作ってくれていた。イスラムの作法では成人男子しか客人と食事をしないので、ブバケル君とお父さんと四人でちゃぶ台のような低い食卓を囲