フレッド・ピアス「外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD」草思社. 全体として本書は専門的な用語の定義や使い方に誤りが多く、そもそも「社会問題としての外来種問題」に関する基本的な部分に誤解があります。したがって導き出される考察や結論も誤りが多いです。唯一良いのはなるべく出典を示していることで、気になった事例を後で調べることができます。著者は丁寧に原典にあたって持論を展開しており、その点は「日本のトンデモ学者や適当ライター」の本よりはるかに真面目です。 ただ、この本のテーマはタイトルから見えてくるように「外来種は悪か?善か?」であり、「外来種は悪ではない、善だ!」と言う持論を普及したくて執筆したのでしょうが、そもそも農業用作物の多くは外来種(イネもジャガイモももう色々)ですし、世間的に問題にしている外来種というのは「侵略的なごく一部の外来種」だけであって、21世紀の現