2012年のロンドン五輪・パラリンピック以来、五輪・パラリンピックは地球環境の保全の観点から農林水産資源の持続的な利用の推進を後押しする催しだと位置付けられるようになった。20年の東京五輪・パラリンピックも持続可能性(サステナビリティー)の重視をうたうが、その実情は「公約倒れだ」と、持続可能な水産業の重要性を主張する阪口功・学習院大学教授は指摘する。持続可能性より国産を重視 リオ五輪にも大きく見劣り
各テーマの専門家に原稿を依頼したり、取材してまとめたりした「識者評論」「視標」、編集委員や論説委員、専門記者らが執筆した「核心評論」を随時アップ。 東京五輪の大会組織委員会はこの3月、大会で供される水産物に関する調達コードの第1版を発表した。五輪では回を追うごとに環境への配慮が重視されるようになっている。ロンドン大会では水産物は全て環境や資源保護に配慮した「持続可能な漁業」から調達されるべきだとされ、これはリオデジャネイロ大会にも引き継がれた。 東京五輪もこのバトンを引き継ぐはずだったが、残念ながら発表された調達方針は、持続可能な漁業への配慮からは程遠く「失格」と言えるものとなっている。 コードは、水産物は国産を優先するとともに、「海洋管理協議会(MSC)」や「水産養殖管理協議会(ASC)」という国際的に権威ある水産物認証製品のほか、「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」や「養殖エコラ
Yasuhiro Sanada's blog on the global environment, ocean, and fisheries 福島民友に掲載された拙寄稿記事「水産物の調達方針「失格」」【福島民友2017年7月23日=共同通信配信】のテキストを以下転載します。なお、テキスト最後の写真は新聞には掲載されていません。 ================================================================= 東京五輪の大会組織委員会はこの3月、大会で供される水産物に関する調達コードの第1版を発表した。五輪では回を追うごとに環境への配慮が重視されるようになっている。ロンドン大会では水産物は全て環境や資源保護に配慮した「持続可能な漁業」から調達されるべきだとされ、これはリオデジャネイロ大会にも引き継がれた。 東京五輪もこのバトンを引き継ぐはずだ
MSC認証水産物の専用スペースが設けられた「イオンスタイル板橋前野町」の鮮魚売り場。エコラベルが掲げられている東京都板橋区で2016年6月28日午前11時17分、井田純撮影 2020年東京五輪の選手村で提供される魚料理が、“手前みそ”の味付けになるかもしれない。水産資源の持続性と環境に配慮した国際基準を満たす漁業が国内にほとんどないため、日本独自の「エコラベル食材」も認めようという声が政府・与党から高まっているのだ。五輪で日本のおいしい魚をPRしたい。でも、お手盛り基準の「おもてなし」で国際的な信用は保てるのだろうか?【井田純】 世界的な水産資源の枯渇を受け、4年前のロンドン五輪は大会組織委員会が調達する水産物について「国連食糧農業機関(FAO)の行動規範を満たすもの」と規定。国際的なエコラベル認証機関である海洋管理協議会(MSC)認証水産物を基準とした。MSCは、操業海域や魚種・漁法、
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