マンガ家・瀬戸口みづきさんは恋愛マンガが主戦場だ。それも若い少女が目をキラキラさせるようなものではなく、鎧で守った心に細い針をチクチクと打ち込んで来るような。 そんな瀬戸口さんの最新作『ローカル女子の遠吠え』は、針を打つという持ち味をそのままに、「地元」を描く意欲作だ。 〔4ページ右4コマ目〕 本作は、ありていに言えば「負け組女子」のUターン就職コメディ4コマだ。主人公・有野りん子は学生時代から勤勉さだけをとりえに生き、東京のデザイナー会社に就職した努力の人。しかし勤勉さだけでは仕事に限界を感じ、半ば挫折のような形で、地元・静岡の企業に転職する。そこには「負けた」りん子のコンプレックスを刺激する存在が跋扈していた。りん子自身も言うように、アリがコツコツと努力している間にキリギリスは余裕で冬を越していた、というわけだ。 〔8ページ左1・2コマ目〕 「マチ」からこぼれおちた者の生存闘争 さて、