松浦寿夫氏によるフランシス・ベーコン展のレビュー。現在開催中の東京国立近代美術館(2013年3月8日〜5月26日)のほか、豊田市美術館にも巡回します(2013年6月8日〜9月1日)。[artscape編集部] 01 現在、フランシス・ベーコンの回顧展示が、30年ぶりに東京国立近代美術館で開催されている。同じ美術館での前回、1983年のベーコン展は、日本での初めての体系的な回顧展として45点のまとまった作品群を展示し、この特異な画家の作品に直接ふれることを可能にする貴重な機会であった。30年の時差、また、この画家の没後20年余の時差とともに開催された今回の試みは、総展示作品数では、33点と、若干の規模の縮小はあるにせよ、より明確な批評的基準から構成された展覧会としてきわめて注目すべき成果たりえている。そしてまず何よりも、このきわめて困難な試みを実現された東京国立近代美術館の保坂健二朗、桝田倫