「似ている」と「そっくり」の間にある深い川 ここまでは、主に普段絵を描くことがない人向けの話であったが、実は絵を専門に描く人にも似顔絵の得手不得手があるのだという。これはどのような技法をメインに勉強してきたかということにも関わってくるらしく、「例えば油絵など絵画を専攻している人はデッサンが主体。対象物を実際に見て、新鮮な気持ちで、毎回異なる表現をすることが求められます。ところが、アニメーション系の人は、要求されれば、いつでも同じものが描けないと困ります。だから、頭の中にパターンをストックして描きます」。絵画系とアニメーション系では、同じ絵を描くことでも、訓練の方向が違うのだという。プロダクションで"ものを思い出しながら描く"ことをしてみたところ、アニメーション系のバックグラウンドを持つスタッフは、軒並み成績がよかったというのだ。 「似顔絵にはこの両方のセンスが必要なんです」と小河原氏は続け