1月7日の東京新聞夕刊の大波小波欄に「小説が映画となり話題を呼ぶ。最近では西村賢太が映画『苦役列車』に毒づいたことは記憶に新しい」と書かれてあった。 脚本家にとっては気にかかる一文だ。何故かというに、昨今は原作偏重主義のもたらす弊害が顕著となり、原作者から「脚本が原作通りでないから、映像化は許さない」と土壇場でイチャモンを付けられ、映画化やドラマ化が不能になるケースが屡々発生しているからである。 あるいはシナリオのセリフの一字一句を原作通りに直させる作者もいて、脚本家の現場は混乱している。 そのような状況を鑑み、日本脚本家連盟では本年3月には『脚本が危ない』の些かシニカルで自虐的なタイトルのもと、『原作と脚本の幸せな関係とは?』との副題を添えてシンポジウムを催すことにしている。 今回、本書『苦役列車』を再読し、底辺をのたうち廻りながら生きる主人公の露悪的なまでの厳しい赤裸々感に改めて圧倒さ
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