懐疑主義の自己矛盾 血液型性格判断は差別であるとか水伝道徳授業は不道徳であるとかの、ネットで見られる批判運動は、過去にニセ科学をスマートに批判した権威の力を借りて、個別の事例を(自分で判断することなく)そのまま丸写しで批判する行為である。だからしばしば大きく間違える。 もともとのニセ科学批判が懐疑的立場に基づいてなされたにもかかわらず、それに追随したひとたちはまったく懐疑的でない。ニセ科学批判の権威を疑うことを知らない。皮肉なものである。 科学を権威づけに使う 「恐らくはこういう主張をする人々にとって「科学」は権威であり、その科学の力を借りて、天皇家の伝統、男系維持の重要性に関する権威付けを行ないたいのであろうと思われる。125代の歴史は科学的にも重要だ、という方がただ重要だというよりももっともらしく聞こえる、とそういう主張をする人は思うのだろう。」 山田ともみ(2005) 『Y染色体と男