ベナール対流 水平な液層を下から熱し,または上から冷やして上下の温度勾配を与えるとき,温度勾配が小さければ下から上へ熱伝導が行なわれるだけであるが,温度勾配がある臨界値を超えると,液層はほぼ正6角形の細胞状の渦領域に分れて,中心部では上向き,周辺部では下向きの流れが生じる現象(図) この現象はベナール,H.がはじめて実験的に研究した(1900)のでベナール対流とよばれ,細胞状の渦をベナール渦という.その理論はレイリーによってはじめられ(1916),現象を支配する無次元数としてレイリー数Raが導入された.Raが臨界値RRacをわずかに超えた状態では4〜6角形のほぼ同じ大きさの細胞が一面に現われるが,Raが増すと細胞は1列に連なって平行な帯状の構造をつくる.この帯状構造は交互に逆回転するロール状の渦からなり,RaがRacの10倍程度になるまでは安定に保たれるが,それ以上になると崩壊して対流は乱