駅前に停車した選挙カーから出てきた若者は、弱々しい声で「○○駅前の皆さまお騒がせします。○○党の○○○○でございます」と演説を始めた。どんな内容なのかと思ったが、小声で名前しか言わないので立ち止まらずに改札に向かった。私が電車に乗るまでの数分間の出来事だから、もしかすると彼は演説の名手なのかもしれない。だが恐らくは、党本部から演説原稿を受け取っただけで、街頭演説の「極意」のような指導は受けていない新人候補だろう。 私が新人記者・編集者だったころは「文章が下手だから転職しろ」とか「この業界に向いていないから辞めろ」とか、さんざん先輩社員から嫌みを言われた。今から思えば、先輩たちの意見は正しくて、初期の記事を読み返すと確かにひどい。今でも上手な文章を書いている自覚はないが、昔は本当にひどかった。ただ、本や雑誌はたくさん読んでいたので、原稿を書くとき、ゼロから考えるのではなくて、自分が上手だと思
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