3月11日に東北太平洋岸を襲ったマグニチュード(M)9.0の大地震は、巨大な津波を伴って三陸沿岸を蹂躙した。死者は最終的に3万人に近づく可能性があり、福島第一原発の放射能事故まで引き起こした。M9.0の地震は世界の地震史上最大級。東北の被害と今後の復興を考えれば、気が遠くなってしまう。東北の不幸な歴史と宿命を思わずにはいられなかった。 壮絶な地獄図 通信社の仙台支社長を務める筆者は震災後、大量の応援記者の受け入れや報道統括に忙殺されたが、この数日、時間を割いて津波被害を受けた仙台市若林区、宮城野区、名取市の沿岸地帯を回ってみた。 そこはまさに、津波ですべてがさらわれた壮絶な地獄図だった。木造家屋は根こそぎ海水にさらわれ、がれきの山と化し、自動車や家電製品が散乱していた。家屋の屋根にクルマが乗った奇怪な光景も見た。ヘドロが残り、異臭も漂う。警察や自衛隊ががれきに閉じ込められた遺体の捜索作業を