1984年はジョージ・オーウェルの小説に描かれたような暗い年になるどころか、ポピュラー音楽の歴史においても特に充実した一年になった。 1984年には、シンセ・ポップ・サウンドのアルバムが数多く作られた (マドンナの『Like A Virgin』、ニュー・エディションのセルフ・タイトル作、ワム!の『Make It Big』といった作品だ) 。 また、ブラック・フラッグ、バソリー、ハスカー・ドゥ、ミニットメン、メタリカらがそれぞれの代表作となるアルバムを発表したこの年は、パンク、ハードコア、ヘヴィー・メタルといったジャンルの転換期にもなった。 他方、ニューヨークでは、新たなスタイルのヒップホップが誕生。Run-D.M.C.の革新的なサウンドを筆頭とするこの新たな潮流は、やがて1980年代の音楽シーンを席巻することになった。 幸いにも、1984年がジョージ・オーウェルの小説に描かれたような暗い一
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