遙から 男性目線のビジネスが、どういう限界を持つか、身をもって感じ知る機会があった。 体調を崩し、大病院の特別室に入院した。巨大ビルの最上階。あらゆるわがままが最大限許される特別患者だ。どれくらいわがままが通るのか、看護師に聞いた。 「見舞客は何時まででしょう」 看護師はことなげに答える。 「このフロアは特別フロアですので、何時でも」 「何時でも、って、限界は?」 「深夜1時に来られた方もあります」 それくらい、特別、だ。 革張りの豪華応接セットのある応接室はベッドエリアより広い。眺めが一望できるワイドビューの窓。キッチン付き風呂付き。妻が十分泊まりで付き添えるどこかの会長様向きの部屋だ。 そこに泊まってやった。 嘘。 職業柄、広告価値があると判断されたのか、当然のように特別室になってしまった。もし聞かれていたら「一番安い個室で」と言っていたに違いない。 いったい何時になったらメイクを落と