<「出稼ぎのない世の中をつくりたい」と、菅首相は雑誌に寄稿していた。しかし菅氏が支え続けてきた安倍政権下においてこそ、日本は「出稼ぎに依存する国」へと大きく舵を切ってきたはずだ> 先の自民党総裁選の頃、まだポスト安倍の一候補だった菅義偉官房長官には「ビジョン」や「国家観」がないという指摘を度々目にした。外野は好きに言っていろと本人は思っているかもしれないが、実際どうなのかは確かに気になるところだ。 そんな折、雑誌に「我が政権構想」という題で菅氏の寄稿が載っているのを見つけた。話題の新書『政治家の覚悟』にも再録されている。 読んでみると、こんなことが書かれていた――「私は秋田の寒村のいちご農家に育ち、子どもの頃から『出稼ぎのない世の中をつくりたい』と思っていました」。 例の「地方からのたたき上げ」の文脈の中に、自らが主導したふるさと納税や外国人観光客の誘致拡大といった過去の施策も位置付けてい