東京電力は27日、福島第1原発4号機の原子炉建屋内のガスを外に逃がす配管周辺の線量を調べた結果を発表した。建屋側よりも外につながる側の方が線量が高く、これは3月15日に同建屋で起きた爆発の原因が、3号機から排気された放射性物質を含むガスが4号機側に逆流したことによるとする東電の推定を裏付けるという。 東電は25日、4号機原子炉建屋にある非常用配管の放射能除去フィルターの線量を計測した。2列からなり、内側はいずれも毎時約0.1ミリシーベルトだったのに対し、3号機の配管につながる外側では約5.5~6.7ミリシーベルトと高かった。 4号機は被災時には定期検査中だったが、爆発が起きた。原因を調べる中で、排気筒を共有する3号機から、水素や放射性物質を含む排気が4号機に逆流し、建屋内にたまって水素爆発を起こしたと推定されている。【関東晋慈】
政府は27日、福島市内で開かれた「福島復興再生協議会」で、年間被ばく線量が200ミリシーベルトと推定される地点では、除染しない場合、帰宅可能な水準(年20ミリシーベルト以下)まで線量が下がるには20年以上かかる可能性があるとの試算結果を示した。菅直人首相は27日、福島県庁で佐藤雄平知事と会談し、東京電力福島第1原発周辺の放射線量が高い地域について「長期間にわたって住民の居住が困難な地域が生じる可能性は否定できない」ことを認め、「心からおわび申し上げたい」と陳謝した。 放射性物質が風雨で拡散されることなどにより、被ばく線量は除染なしでも自然に低下していく。試算結果によると、帰宅可能水準まで線量が下がるには、現在の推定線量が100ミリシーベルトの地点で10年程度、50ミリシーベルトの地点で4年程度かかる。 ◇汚染物質保管「福島で」 首相が知事に要請 会談で首相は、除染作業によって新たに汚染土壌
印刷 関連トピックス菅直人原子力発電所東京電力 東京電力福島第一原発事故に苦しむ福島県で、菅直人首相が二つの「通告」をした。原発周辺の一部地域では長期間、居住が難しいという見通し。そして、放射能に汚染された廃棄物の中間貯蔵施設を県内に置くこと。退陣直前の首相の口から示された方針に、住民や自治体には不信と困惑が広がった。 第一原発から約2.5キロ、福島県双葉町細谷地区の山本安夫さん(60)は26日、妻の秀子さん(61)と一時帰宅したばかりだ。田畑や自宅周辺は草が伸び放題だったが、「できるなら戻ってきたい」と改めて思った。その翌日の菅首相の発言。安夫さんは「ひょっとして(また住める)と思っていたのに。希望を打ち砕かれた」と話した。 双葉町で生まれ育ち、昨年9月に定年退職した。自宅を改築したばかりで、趣味の農業を続けるはずだった。「あすあさって辞める人に『住めない』と言われても、納得できな
印刷 関連トピックス菅直人 「なんですか、これは。突然の話ではないですか」。菅直人首相との27日の会談で、放射性物質を含む廃棄物の「中間貯蔵施設」を県内に整備するよう要請された福島県の佐藤雄平知事は声を荒らげた。「非常に困惑している。震災から6カ月間、猛烈に苦しんでいる福島県には極めて重い問題です」。怒りを押し殺した顔で首相にそう答えた。 県庁内で行われた会談の1時間前、知事の表情は穏やかだった。念願だった政府と県による「福島復興再生協議会」の初会合が開かれたからだ。首相はこの席で、「原子力を推進してきた国の立場を含め、おわびする」と謝罪。知事は報道陣に「今日までの総論と感じた」と評価していた。 菅首相は、長期間ふるさとに帰れない住民が出る見通しも「宣告」した。佐藤知事は会談後、「そりゃショックを受けるだろうね。一日も早く帰りたいと思っているわけだから」と住民の気持ちを代弁した。 関
関西電力が、再稼働を目指す長期運転停止中の火力発電設備5基を詳しく調べたところ、大半は設備の劣化などで目標とする来年夏までに稼働できない状態であることが、26日までに分かった。 関電は整備を急ぐが、来夏に間に合う可能性があるのは海南発電所2号機(出力45万キロワット、和歌山県海南市)のみとみており、供給力の大幅アップは期待できそうにない。 関電は、電力需給を安定化するには「停止中の原発の再稼働が不可欠」(幹部)としており、再稼働の条件となっている「1次評価」を進め、9月中に結果を国に提出する方針だ。 政府の試算では、原発が再稼働できなければ、関電の来夏の供給力は2533万キロワットに低下し、最大需要予測に対して約600万キロワット不足する見込み。海南2号機だけでは不足分の1割弱しかカバーできない計算となる。
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