翻訳本はありがたい。翻訳者にも出版社にも感謝しないわけにいかない。翻訳書には訳者のあとがきが付き物で、中には不親切なものもあるけれど、大抵は「何をどう訳したか」教えてくれる。それを読んでいて不思議に思ったことを書いてみた。 ありがちで悲しいのは、こういうパターン。 本書は邦訳にして上下で一○○○ページになろうという分量なので、この日本語版では原書の巻末についているノートと参考文献および索引(全部で一○○ページあまり)は割愛せざるをえなかった。これは、もちろん読み物としてなるべくハンディーにしたいとの出版部の意向によるところである。読者のご寛恕をお願いしたい。[1] がっくり。100ページの割愛のおかげで定価を100円くらいは安く設定できたかもしれないが、歴史的ドキュメントとしての価値は台無しになってしまった。「読み物としてなるべくハンディーに」の意味と意図もよくわからない。薄く安く手に取り