生命に合わせて調整されている自然法則(1) ――物理学と生物学を一貫する「人間原理」 渡辺 久義 「進化」と「創造」 前号に書いたことの誤りを正すことから始めたい。「体毛に覆われた爬虫類などいなかったはずだ」と私は書いたが、「さまざまの哺乳類のような爬虫類」は数百万年にわたって、オーストラリアの有袋類のように、孤立して主流とパラレルに存在したという事実があるようである。その限りでの私の誤りは認めるが、あたかも一般に爬虫類が徐々に哺乳類に変わっていったかのように思わせるために、その事実を利用するようなことは許されないことであろう。 私がそれを知ったのは、前回に書名だけ紹介したマイケル・デントン(Michael Denton)の第二の著『予定された自然―生物学の法則は宇宙の目的を開示する』(Nature's Destiny: How the Laws of Biology Reveal Pur