一九九九年八月一二日、新宿リキッドルームでのオールナイト・イヴェント「WORLD FAMOUS VOL.5」。その晩のヘッドライナーは、米国西海岸のヒップホップ集団リヴィング・レジェンズだったのだが、そもそもレジェンズ自体が複数のラッパーとDJから成るフレキシブルな組織体である上、日本側からのゲストなども多数加わったその夜のライヴは、何組ものパフォーマンスが入れ替わり立ち替わり行われていく、きわめて中味の濃いものだった。しかしその中でも、とりわけ僕が強いインパクトを受けたのは、シンゴ2というアーティストのライヴだった。 シンゴ2は、アメリカ在住の若い日本人ラッパーである。彼はもともと一曲の内に日本語と英語のリリックが交錯するバイリンガルなスタイルによって注目されたが、CD二枚組の最新アルバム『緑黄色人種』では、一転して全曲、日本語のみでラップしている。しかしそれは、たとえばアメリカ(海外)