今年の干支(えと)、辰(たつ)にちなんだタツノオトシゴを新しい地域産業として育てる計画が、静岡市で進んでいる。静岡商工会議所や市、地元の大学、企業が共同でつくる「駿河湾地域新事業推進研究会」が挑戦。難しいとされる陸上養殖に成功し、年明けから観賞用セットの試験販売を、企業向けに始めた。薬効の研究も進め、事業化を目指す。 ■産卵技術の確立が課題 研究会が取り組みを始めたのは2005年。漢方薬の材料としての人気が高まり、乱獲によって生息数が激減。国際的な取引規制も強まり、価格が高騰している現状に目をつけた。「養殖技術を確立できれば、環境保全にもつながると考えた」と同商議所では話す。 世界でも前例の少ない養殖の技術開発を担うのは、東海大学海洋学部水産学科の秋山信彦教授(50)。試行錯誤を重ね、クリアした最初の難題は「十分な餌をいかに与えるか」だった。 普通の魚は1日に体重の約3%、成長期で