エサ獲得へ最適ルート形成 コンピューター設計応用も 脳を持たない単細胞生物の粘菌が、高度な「知性」を備えているという。効率良くエサを獲得するために「最適な形」を模索する習性が、コンピューターが苦手とする難問の答えを導くのに適しているのだ。北海道大や理化学研究所などのグループは粘菌の能力に着目し、現代社会のネットワーク形成や人間に似た人工知能の実現につなげる研究を進めている。(小野晋史) ≪迷路を解く≫ 落ち葉や倒木の下などに生息している多核単細胞生物の粘菌は、博物学者の南方熊楠も注目した不思議な生物だ。数億年の自然淘汰(とうた)を乗り越えた体はアメーバ状で自由に変形できる。 粘菌が高度なネットワークを形成することも見いだしたのは、北海道大学の中垣俊之准教授らの研究グループだ。 エサが散らばっている場合、まず一帯に広がって丸飲みするが、最終的にエサの周辺とその間を必要最小限に結ぶ栄養の輸送管