立憲民主党の泉健太代表は10日、次期衆院選で、自民党の政治資金パーティー裏金事件で収支報告書の不記載などが発覚した議員のいる全選挙区に対立候補を擁立する考えを示した。擁立目標を200人から上積みする可能性にも言及した。 泉氏は「裏金議員は許さないという意思表示だ。単独過半数をとれるだけの候補者を目…
安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区(下関市、長門市)の補欠選挙で、安倍氏の後継候補選びが難航をきわめている。これまでに安倍氏の妻昭恵さんや実弟の長男、現職参院議員らの名前が挙がったが、いずれもまとまらなかった。県連内では、窮余の一策として、お騒がせの「あの人」を擁立する奇策まで浮上している。 衆院山口4区補選は、公選法の規定に基づき2023年4月に実施される公算が大きい。自民党は安倍氏の後任選びを急ぐが、候補者が決まらない。 その最大の理由は、衆院の新区割り「10増10減」だ。4区補選は現行区割りのまま実施されるが、次期衆院選で現4区は現3区(山陽小野田市など)の一部とともに新3区となる。このため、4区補選で勝利した候補は、次の衆院選で現3区選出の有力者・林芳正外相と公認争いになる可能性が高い。 下関市では安倍氏と林氏の勢力が長年政争を繰り広げてきた。地元の安倍派には、4区補選に自前の
立憲民主党の臨時常任幹事会で発言する泉健太代表=衆院第2議員会館で2022年8月10日午後3時6分、竹内幹撮影 旧立憲民主、旧国民民主両党が合流し、立憲民主党を結党してから15日で丸2年。泉健太代表は党勢回復に向け、8月にベテラン中心の新執行部を発足させたが、早くも党内の不満が表面化している。 「攻め時に遠慮してどうする」 立憲所属の国会議員は2020年の結党時に150人だったが、21年衆院選、22年参院選と連敗し、135人に減少。野党第1党の座は維持しているものの、参院選では比例代表の得票が野党第2党の日本維新の会(所属国会議員62人)より約110万票も少ない677万票にとどまり、党内に激震が走った。党内では更なる党勢低迷が危惧されているのが実情だ。 13日の両院議員総会で、泉氏らが安倍晋三元首相の国葬への出席判断を保留している状況を説明した時だった。一部の議員から「攻め時だ。こんな時に
静かな語り口に、憤りがにじみ出ている。「国葬で言論を封じ、政治と宗教の癒着をうやむやにし、党内派閥の力関係を調整するつもりでしょう」。そう推察するのは、かねて政治に物申してきた作家の島田雅彦さん(61)である。宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)を巡る問題が政界を揺さぶる中、安倍晋三元首相の国葬に異を唱えるのだ。 教団との関係が露見する自民党議員が後を絶たない。「本気で教団との関係を断つつもりなら内閣総辞職、解散総選挙をすべきです」。うだるような猛暑が続く東京都内で、島田さんはそう鋭く切り出した。安倍氏の銃撃事件以降、政界の動きに心底うんざりしているという。 亡くなった安倍氏も、旧統一教会の関連団体にビデオメッセージを寄せるなど、長年つながりを持っていたとみられている。改めて、安倍政治への評価を尋ねると、痛烈な言葉が返ってきた。「『モリ・カケ・桜』などの疑惑のもみ消しにしか政治力
JR東日本側の「Suica(スイカ)のペンギン」(手前)の右奥にJR東日本東北側のスイカのペンギンが見える=東京都文京区の東京ドームで2022年7月23日午後8時35分、竹田直人撮影 都市対抗野球大会が開催されている東京ドーム(東京都文京区)で23日、同時に2羽の「Suica(スイカ)のペンギン」が見られる珍事が起こった。居合わせた観客らは「スイカのペンギンは2羽いたんだ」と驚きつつも喜んでいた。 この日の2回戦で、JR東日本(東京都)とJR東日本東北(仙台市)の「JR東日本対決」が実現。同社のICカードでおなじみのペンギンがそれぞれのチームの応援に駆けつけた。 東日本側では、三回の攻撃時に初登場し、演舞に参加するなどしてチームを鼓舞した。東北側でも攻撃時にスタンドのステージに立ってダンスを披露するなどしてスタンドを盛り上げた。五回終了後のグラウンド整備の時間に、ついに同時出演が実現した。
安倍晋三元首相が銃撃された事件をどう受け止めるか。識者らに聞いた。 東京工業大の中島岳志教授(政治学)の話 今回の事件のような非合法な暴力の目的は、私たちの社会を恐怖によって萎縮させることであり、許されることではありません。今、私たちが取るべき態度は、動揺せず、昨日と同じ今日を生きることです。毅然(きぜん)とした態度で事件が世の中に与える影響を最小限に抑えることが、テロに勝つことにつながるからです。 現在、与野党ともに選挙運動をストップさせていますが、それはやってはいけないと思います。今回の事件が週末の参院選の結果に大きな影響を与えてしまうことは、テロが社会を動かすのに有効だと認識されることにつながり、テロの連鎖を引き起こすことにもつながりかねません。私たちは動揺せず、選挙と今回の事件を切り分けて参院選の投票にも挑むべきです。
欧米ではマスクを外した生活が普通になっているのに対し、日本ではいまだにマスク着用が続いている。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、政府はマスクを外しても構わないという場面を例示したが、マスクを着けている人が多い。なぜ日本人はこれほどマスクを着けたがるのか。そのルーツは何か。マスク史に詳しい住田朋久・慶応大大学院社会学研究科訪問研究員に尋ねた。【聞き手・宇田川恵/オピニオングループ】 元々はファッションアイテムだった ――マスクの起源はどこにあるのですか。 ◆近代のマスクの原形は1836年に英国で登場した。元々、呼吸器を患う人のために開発されたもので、鼻と口を布で覆い、布の中に格子状の金属が入った構造だった。患者が着用すると、温かく湿った空気を吸うことができたようだ。これが日本に輸入され、その後は国内でも製造された。1880年ごろまでには都市部で広がったという記録がある。 ――今のマスク
Suica(スイカ)やICOCA(イコカ)といった交通系ICカードの「1強時代」に終わりは来るのか。今のところその強さに疑いを挟む余地はないが、新たな改札方式を模索する動きも続々と出ている。 南海電鉄がVISAカードを改札機にタッチして決済できる「VISAタッチ」の実証実験を開始したのは2021年4月のこと。その南海が今年4月から同方式の利用可能駅を18駅から28駅に順次拡大した。子会社の泉北高速鉄道でも使えるようになっている。今回も12月11日までの実証実験という位置づけだが、その後は定着すると見られる。 さらに5月31日からは福岡市営地下鉄の7駅でもVISAタッチの実証実験がスタートした。7月15日からは西日本鉄道(西鉄)の5駅でも実験開始予定だ。長電バス(長野県)や横浜市営バスなどのバス路線にも広まってきた。 交通系ICカードの課題 現在、公共交通機関でのキャッシュレス決済は、Sui
ウクライナのゼレンスキー大統領=首都キーウ(キエフ)で2022年6月3日、ウクライナ大統領府提供の映像から・AP ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、ロシア軍の侵攻に対して「私たちは全ての占領地域の解放を達成しなければならない」と改めて強調し、欧米に対して更なる武器支援や対露制裁の継続を求めた。英紙フィナンシャル・タイムズのオンラインイベントに出演して語った。徹底抗戦を支持する国内世論を背景に、ロシアに融和的な姿勢を見せるフランスなどをけん制する発言とみられる。 ゼレンスキー氏は「領土をやすやすと譲るには、既にあまりに多くの人々が犠牲となっている」と述べ、戦場での足踏み状態は「選択肢ではない」と強調した。ウクライナ側によると、露軍は領土の20%を占領しているとされる。
記者の不起訴処分を報じる北海道新聞の4月1日朝刊紙面。編集局長名で「不起訴に当たって」とコメントを掲載した 北海道旭川市の国立大学法人旭川医科大で2021年6月、取材をしていた北海道新聞社(道新)の20代の女性記者が建造物侵入容疑で現行犯逮捕された。今年3月に不起訴処分となり捜査は終結したが、取材中の記者が逮捕されたことで、社会的に関心の高い問題についての「報道の自由」がどこまで許されるのかが問われた。 道警などによると、記者は6月22日、立ち入り禁止とされた同大構内に許可を得ず立ち入ったとされる。 この日、同大では吉田晃敏学長(当時)の解任を審査する学長選考会議が開かれていた。吉田氏は新型コロナウイルスの感染者受け入れを訴えた同大病院の院長に辞任を迫る発言をし、学長選考会議が設置した外部調査委員会がこれをパワーハラスメントと認定。吉田氏は6月17日に文部科学相に辞任を申し出たと公表し、選
立憲民主党の枝野幸男氏が党代表を退いて半年が過ぎた。長らく表舞台から遠ざかっていたが、ここに来て活動を活発化しつつある。夏の参院選が近付いても、党勢回復の兆しはなく、早くも周囲からは再登板を期待する声が上がる。枝野氏の思いは今、どこにあるのか。 「宮崎で私が応援に来ると(候補者が)勝つというエピソードを作らせていただいている。皆さんのおかげです」。4月24日、宮崎市の市民プラザで開かれた憲法対話集会。代表時代をほうふつとさせる力強い口調で語る枝野氏に対し、約110人の来場者は満場の拍手を送った。2021年衆院選では宮崎へ応援に駆けつけ、1区で立憲公認の元県議、渡辺創氏が、自民公認の武井俊輔・元外務政務官に競り勝った。エピソードとはこのことだ。集会後は珍しく記者団の取材にも応じ「全国の仲間から呼んでもらう機会があるので、役に立つことがあれば人寄せパンダで使ってもらえれば」と冗舌だった。 衆院
和田春樹・東京大名誉教授らの声明に疑問を呈する福田充・日本大危機管理学部教授の投稿=2022年4月27日、福田氏のツイッターより ロシア軍とウクライナ軍は即時停戦し、停戦交渉を正式に始めよ――。3月下旬、こうした主張を披露した声明が、ツイッター上で物議を醸した。声明を発表したのは、日本でロシアなどの歴史研究を担ってきた東京大の名誉教授ら14人。反発したのは、現在大学の一線で教壇に立つ若手の研究者たちだ。即時停戦を主張した先達に、若手が猛然と反対の声を上げたのはなぜか。双方に取材すると、正義や人権、戦争の終わらせ方などを巡り、研究者の間に横たわる世代間の溝が浮き彫りになった。【金森崇之】 声明「日本政府は何をなすべきか」が発端 論争の発端となったのは、「ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をすべきか」と題された声明だ。歴史学者でロシア史に詳しい和田春樹東大名誉教授らがホームペ
単行本29巻で累計発行部数1900万部を突破した野田サトルさん原作の人気漫画「ゴールデンカムイ」(集英社)が、28日発売の週刊ヤングジャンプ22・23合併号で約8年間にわたる連載に終止符を打つ。魅力的なキャラクターによる冒険活劇が先住民アイヌへの関心を高めた功績は、各方面で評価されている。 高い画力 スリルとアクション 連載は2014年8月に始まり、明治末期の北海道や樺太(サハリン)が舞台。日露戦争の帰還兵である「不死身の杉元」こと杉元佐一とアイヌの少女「アシㇼパ」が、敵対勢力と戦いながら金塊を探し求めるストーリーだ。書店員など漫画ファンの投票で決まる16年の「マンガ大賞2016」で1位に輝いて一層人気が高まり、アニメ化にとどまらず、実写映画化も発表された。 高い画力で描かれた個性的な登場人物が織りなす、息もつかせぬスリルとアクション。躍動感ある展開はファンを増やし、アイヌが主題ではないに
ウクライナ政府は24日、ツイッターに投稿した動画の中で、昭和天皇の顔写真を掲載したことに日本国内のネットユーザーなどから批判が高まった事態を受け、動画から昭和天皇の顔写真を削除し、謝罪した。当初の動画には、ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を行ったナチス・ドイツの独裁者ヒトラーやイタリアのファシズム指導者ムソリーニと共に、昭和天皇の顔写真を並べていた。 動画は「現代ロシアのイデオロギー」と記した英語の字幕から始まる1分21秒の映像で、プーチン露大統領の演説などが映し出され、ロシアの「差別主義」を非難している。問題の場面は1分11~14秒付近で「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」と記し、昭和天皇ら3人の顔写真を並べていた。
ロシア軍が攻撃を続けるウクライナの南東部マリウポリでは、同国政府の傘下に入る準軍事組織「アゾフ大隊」が戦闘に参加してきた。元駐ウクライナ大使の角茂樹氏に、この組織が設立された経緯や現在の位置づけを聞いた。 元駐ウクライナ大使の角茂樹氏 アゾフ大隊は、ウクライナ東部で親露派勢力との武力紛争が始まった2014年、東部地域の有力者が資金を出して立ち上げた組織の一つだ。資金力を背景に手厚い装備を整えた。当時のウクライナは軍隊を縮小していたため、この組織が一時マリウポリなどの市庁舎を占拠した親露派をはね返すのに非常に力を発揮した。 当時、アゾフ大隊のトップが白人至上主義者だったなどとうわさされたのは確かだ。ウクライナ政府は14年秋に正式にアゾフ大隊を国家警備隊として内務省の傘下に置いたが、その時に彼を辞めさせ、政治的・思想的な色合いを取り除いた。米議会でもアゾフ大隊に訓練などの支援をすることが適切な
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