東京に来たら歌手になれると思ってた」と語るのは、今月、インディーズレーベルからデビューアルバムを発売した、ミュージシャンの笹生実久。そのアルバムの中で、1969年に発売された、フォークシンガー岡林信康の「チューリップのアップリケ」をカバーしている。この歌は、発売当時、「毎日くつをトントン叩いてはる(略)みんな貧乏が悪いんや」などの歌詞内容が被差別部落の家を連想させるとして、テレビ、ラジオ局が自主規制を行い、放送禁止の憂き目に遭った楽曲だ。 「『チューリップのアップリケ』は1年半くらい前からライブで歌い始めたんです。きっかけは、事務所のスタッフに『この曲をカバーしてみないか』って言われて。もともとお父さんの影響で、小さい頃からフォークソングは聴いてたんですけど、この歌の背景にあったものは知らなかった。そういったことを知って、ただの歌じゃないから、歌い始めるのはすごく勇気のいる選択でした」 笹