ファンタジー作品に登場するドラゴンは、口から勢いよく火を吐く姿でおなじみですよね。 もちろん、これは空想の話なので何ら科学的な根拠はありません。 しかし、もしドラゴンがこの世に実在するとしたら、彼らはどんな生物学的なメカニズムを使って火を吐くことになるのでしょうか? 英ハル大学(University of Hull)の研究者であるマーク・ローチ(Mark Lorch)氏が、その科学的な仕組みを大まじめに検証してみました。
ファンタジー作品に登場するドラゴンは、口から勢いよく火を吐く姿でおなじみですよね。 もちろん、これは空想の話なので何ら科学的な根拠はありません。 しかし、もしドラゴンがこの世に実在するとしたら、彼らはどんな生物学的なメカニズムを使って火を吐くことになるのでしょうか? 英ハル大学(University of Hull)の研究者であるマーク・ローチ(Mark Lorch)氏が、その科学的な仕組みを大まじめに検証してみました。
生物は似たような見た目でも様々な種に分類されているものですが、実は海の王者として知られるシャチは、これまで「シャチ」という名前(種名)でひとくくりにされ、世界に1種とされていました。 しかしついに、そのシャチの分類が更新され、全部で3種類にわけられました。 従来からシャチと呼ばれていた「Orcinus orca(オルキヌス・オルカ、英名:killer whale)」に加えて、新たに「Orcinus rectipinnus(オルキヌス・レクティピヌス、英名:Bigg’s killer whale)」と「Orcinus ater(オルキヌス・アータ、英名:resident killer whale)」の2種が記載されることになったのです。前者のrectipinnusは「直立したヒレ」、後者のaterは「黒い」という意味です。 こうした話を聞くと、そもそも生物における「種」とは何なのだろうと疑問
酸素がなくても進化が起きていたようです。 デンマークのコペンハーゲン大学(KU)で行われた研究により、多細胞生物の爆発的な進化が起きた「アヴァロン爆発」と呼ばれる時代には、酸素はほとんど存在しなかったことが示されました。 これまで70年以上にわたり、高度な多細胞生物が進化するには、酸素レベルの増加が必要だったと考えられてきましたが、当時の鉱物を調べると期待していたような酸素レベルの増加が起きていませんでした。 酸素が無くても多細胞生物の進化が起きたという結果は、既存の生命進化の物語を大きく書き直すことになるでしょう。 研究内容の詳細は『Geobiology』にて掲載されました。
幼い子供の4割はトロッコ問題で「人間より動物の命を優先する」と判明トロッコ問題の概要 / Credit:wikipedia暴走するトロッコを前に5人を救って1人を殺すか、それとも1人を救って5人を殺すか? トロッコ問題は古くから人間の倫理観を問う問題として使われてきました。 この問題では多くの人が「5人を救って1人を見殺しにする」という選択をします。 ただこの問題にはさまざまなバリエーションが存在しており、たとえば5人が見知らぬ人な一方で1人が自分の家族だった場合、または5人が健康な若者で1人が末期がんの老人だった場合など、さまざまな状況を想定することも可能となっています。 また人間以外を比較したバリエーションも豊富に存在し、近年では特に、人間の命と動物の命のどちらを優先するかを調べる試みも増えていきました。 実際、233カ国の数百万人を対象にした自動運転AIにかんする倫理調査でも予測どお
私たちヒトは肺呼吸のために、息を止めなければ水中には潜れません。 これは海洋哺乳類であるイルカやクジラにも言えることです。 一方で、エラ呼吸ができる魚類たちは潜水時にわざわざ息を止める必要はないはずです。 ところが最近、米ハワイ大学マノア校(UH Mānoa)の研究で、深海に潜るときに必ず息を止めているサメが発見されたのです。 研究主任のマーク・ロイヤー(Mark Royer)氏いわく「潜水時に息を止める魚類が見つかったのは世界初」とのこと。 サメはエラ呼吸できるはずなのに、なぜ息を止めていたのでしょうか? 研究の詳細は、2023年5月12日付で科学雑誌『Science』に掲載されています。 Hammerhead sharks found to hold their breath on deep water hunts to stay warm https://www.hawaii.edu
失われた太古の海洋世界がすっぽり丸ごと掘り当てられたようです。 中国科学アカデミー(CAS)、スウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)らの国際研究チームはこのほど、英ウェールズにあるキャッスルバンク採石場にて、約4億6200万年前のオルドビス紀中期に当たる海洋生態系の化石群を発見したと発表しました。 これまでに170種以上の古生物の化石が見つかっており、そのほとんどが新種とのことです。 研究者らはこの驚くべき化石群を”海洋の小人世界(Marine Dwarf World)”と呼んでいます。 研究の詳細は、2023年5月1日付で科学雑誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載されました。 Middle Ordovician ‘marine dwarf world’ found in Castle Bank, Wales https://phys
「親のいない子供を養子として育てる」そんなエピソードは「優しく温かい話題」かもしれません。 ところが、その養子が誘拐された子供だったとしたら、印象は逆転して、一気に「恐ろしい話」に変わります。 実は、このような事件が海の動物たちの間でも生じたようです。 西アイスランド自然研究センターに所属するマリー・ムルスチョック氏ら研究チームが、メスのシャチがゴンドウクジラの一種「ヒレナガゴンドウ」の赤ちゃんを育てていたと報告しました。 しかもその赤ちゃんは誘拐された子だった可能性が高いというのです。 研究の詳細は、2023年2月17日付の学術誌『Canadian Journal of Zoology』に掲載されました。
近年、気候変動や環境破壊により、生物種の減少がますます危惧されています。 そこで、絶滅危機に瀕する生物の保護・保全活動が、より一層盛んになってきました。 中でも、映画『ファインディング・ニモ』で有名になったクマノミのように、カラフルで美しい生き物は、専門家の関心を引きやすく、保護の優先順位も高くなっています。 しかしこのほど、仏モンペリエ大学(University of Montpellier)の研究で、ある注目すべき事実が判明しました。 それによると、美的に「地味で醜い」と評価される魚の方が、カラフルで美しい魚よりも、絶滅の危機に瀕している可能性が高いことがわかったのです。 にもかかわらず、見た目の地味さゆえに、保護の優先順位が低くなっているとのこと。 ルッキズム(外見至上主義)という言葉をよく耳にするようになりましたが、外見が重要になるのは海の世界の生き物たちも同様だったようです。 研
近年では、「スマート家電」のように、身の回りのアイテムを電子的に管理できます。 しかし、それらすべては電気で動くので、より多くの電源プラグや電池が必要になっています。 増大する電力需要に対応するため、イギリスのケンブリッジ大学(University of Cambridge)・生化学科に所属するクリストファー・ハウ氏ら研究チームは、新しい電力源として、藻類である「藍藻(らんそう)」の光合成を使用した小型発電機を開発しました。 藍藻の光合成だけで、マイクロプロセッサ(コンピュータで演算・制御を行うチップ)に半年以上電力を供給できます。 研究の詳細は、2022年5月12日付の科学誌『Energy & Environmental Science』に掲載されました。 Algae-powered computing: scientists create reliable and renewable
イヌに話しかけると、愛らしくも首を傾げることがあります。 これは一体、何を意味しているのでしょうか? 一部では、混乱や当惑の気持ちを吐露しているとされますが、エトヴェシュ・ロラーンド大学(Eötvös Loránd University・ハンガリー)の最新研究で、まったく別の意味合いが明らかにされました。 それによると、首を傾ぐ仕草は、イヌの集中力や注意力が高まっている証拠とのこと。 特に、ボーダー・コリーのような知能の高い犬種に見られるようです。 研究は、10月26日付けで学術誌『Animal Cognition』に掲載されています。 New Study Explains Why Dogs Do The Head Tilt, And It’s Honestly Too Cute to Handle https://www.sciencealert.com/new-study-explai
物理学が未だに説明できていない問題現在、物理学にはまったく異なる2つの理論が存在し、どちらも大きな成功を収めています。 その2つの理論とは、量子力学と一般相対性理論です。 量子力学は、自然界を支配する4つの基本的な力のうち、3つの力(電磁気力、弱い力、強い力)を微小な世界で記述することに成功しました。 ただ、重力についてはまだうまく説明することができていません。 一方、一般相対性理論は、これまで考案された中でもっとも強力で完全な重力の記述方法です。 しかし、一般相対性理論にも不完全な部分があり、この世界で2つのポイントについてだけ理論が破綻しています。 それが「ブラックホールの中心」と「宇宙の始まり」です。 ここについては、一般相対性理論でも計算が破綻してしまい、信頼できる結果を得ることができません。 そのため、これらの領域は「特異点」と呼ばれていて、現状の物理理論が及ばない時空のスポット
洋上風力発電のため海底に敷設された電力ケーブルが、ヨーロッパイチョウガニを「魅了」し、移動習性に悪影響を与えていることが、最新調査で明らかになりました。 ヘリオット・ワット大学(Heriot-Watt University・英)の調査により、海底ケーブルから放たれる電磁気がカニを引きつけて静止させ、移動や繁殖を妨害していることが判明。 さらに、ラボ内での実験で、電磁気にさらされたカニは血液細胞に変化を起こし、感染症にかかりやすくなることが示唆されました。 研究は、7月17日付けで学術誌『Marine Science and Engineering』に掲載されています。 Crabs Are Spellbound By Electromagnetic Fields Emitted By Underwater Power Cables https://www.iflscience.com/pla
光合成するウミウシには葉緑体に対して独自の接待法を編み出していました。 基礎生物学研究所で行われた研究によれば、一部の光合成するウミウシは、エサから盗んだ葉緑体を、植物とは異なる方法で細胞に組み込み、光合成を行わせているとのこと。 これまで葉緑体が光合成を行うには光や水、二酸化炭素以外にも、植物本体の光合成遺伝子が必要であることが知られており、ウミウシも植物の光合成遺伝子を何らかの方法で獲得していると考えれていました。 しかし今回の研究では、それが違うと判明します。 葉緑体に光合成させるには、受け入れる動物細胞の遺伝子を調整するだけよかった分かったのです。 研究内容は4月27日付けで『eLife』に掲載されています。
ドイツ・テュービンゲン大学・神経科学研究チームは、24日、「カラスにヒトと同じ主観的意識の存在が初めて認められた」と発表しました。 『Science』に掲載された実験では、カラスがスクリーン上に表示された視覚刺激に対し、意識的に知覚・判別できることが示されています。 こうした意識構造は、ヒトを含む霊長類でしか確認されておらず、鳥類では初のことです。 研究主任のアンドレアス・ニーダー教授は「この結果は、意識の起源と進化について新しい見方を切り開くもの」と述べています。
化学物質の注射でマウスは全身を引っ掻きはじめたかゆみを誘発する化学物質を注射されたマウスは体を盛んに引っ掻きはじめる/Credit:九州大学かゆみは、皮膚トラブルの最も典型的な例であり、古くから多くの対症療法が考案されてきました。 その中で、最も簡単で安全かつ効果的な方法として、皮膚摩擦が知られています。 かゆみを感じる時に、体のあちこちの皮膚をこすると、自然とかゆみが緩和されていくという不思議な現象が起こるのです。 しかしながら、この摩擦によるかゆみ抑制の背後にあるメカニズムは判明しておらず、経験的な医療として考えられてきました。 そこで今回、研究者たちは皮膚摩擦がかゆみを抑制する仕組みの本格的な解明を試みました。 実験にあたってはまず、マウスにかゆみを誘発する化学物質を注射。すると化学物質によりマウスは凄まじいかゆみに襲われ、激しく後ろ足で体を引っ掻くような動作をはじめます。 このとき
シャコは、生物界一のハードパンチャーとして有名です。 ハンドスピードは、プロボクサーの時速30〜50キロに対し、シャコは驚異の80キロ超え。威力もハンパではなく、人の指くらいなら簡単に折ってしまいます。 シャコは、自分のパンチ力で関節を痛めないよう手加減しているという研究もあるほどです。 このシャコパンチで、魚を気絶させたり、カニの硬い殻をぶち割ったりしますが、それでいてシャコの拳には傷ひとつ付きません。 その謎を解明するべく、米・カリフォルニア大学は、電子顕微鏡を使って、シャコの拳の秘密に迫りました。 その結果、シャコの拳には、パンチの衝撃を吸収・分散できる「自家製サポーター」が施されていることが判明します。
最近日本でも、コロナ禍で休業中していた水族館のチンアナゴが人間を忘れかけていることが話題になりました。しかし人間が来ずに問題が起きているのは、どうやら日本の水族館だけではないようです。 オーストラリア・クイーンズランド州にある「ケアンズ水族館」は、地元でも人気の施設。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月半ばから営業を停止しています。そのため、水族館の中はがらがら。 そんな中、館内の魚たちが次々と「うつ症状」を示し始めているというのです。彼らは人が来なくなった寂しさのあまり、ふさぎ込んでしまったのだとか。 中には水槽の隅にうずくまったり、拗ねて餌を食べなくなったりする魚もいるとのこと。 その解決策としてケアンズ水族館は、とてもユニークな方法を実践しました。
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