Against Empathy: The Case for Rational Compassion 作者: Paul Bloom出版社/メーカー: Ecco発売日: 2016/12/06メディア: Kindle版この商品を含むブログ (4件) を見る 本書の著者ポール・ブルームはピンカーと一緒に言語が適応であることを主張し,その後発達心理学者として道徳の獲得やヒトの心にある本質主義的傾向をリサーチしていることで知られる. ブルームの新刊である本書は題名通りの「共感」への批判書,より正確には「共感こそが,道徳の向上,そして差別のない平和な世界を創るための鍵だ」という考え方を批判する本だ. 初めて聞くとこれはかなり奇異な主張に聞こえるだろう.人種差別や性差別,さらに戦争を含むアウトサイダーへの暴力は,相手の身になって差別の痛みを感じることによってその酷さが実感でき,それによってこそ抑制が可能に