「これ、あげますよ」 知らないおじさんから声をかけられた。 なんだろうと思って、おじさんが持っているものを見る。 「龍馬降臨」。 そう書いてある本が目に入った。 あぁ、龍馬ブームか。 ソフトバンクの孫社長も龍馬ファンを公言しているし、これが龍馬ブームのパワーか。 でもなぜ? なぜいきなり龍馬本をくれる? もしかしてここがさくらまつりの会場だから? 何かの景品で本が当たってしまって、でも龍馬には全然興味がないから誰かにあげようとしたとか? 本には黄色いリボン付きで丁寧にラッピングしてある。 照れくさそうに、少し笑みを浮かべながら、「龍馬降臨」を渡そうとしてくる。 「ここで受け取らないのも、それはそれで失礼かな」 そう思って、この本を手にした瞬間、「龍馬降臨」のすぐそばに名前が書いてあることに気づいた。 「大川隆法」 あっ…。 もう手に取ってしまったので、返すわけにもいかない。 続けておじさん