――それでは、倒産の情報も事前に伝わっていたのでしょうか。 小嶋:いえ、義理の父とはあまり接点がなかったんです。私は結婚後、ベルベに入社したのですが、社長のいる本部事務所にはここ3年ほどはまったく行っていません。 ――入社したときは「ゆくゆくは自分が社長になるかもしれない」という意識はなかったのでしょうか。 小嶋:まったくなかったです。ベルベには義理の兄、つまり社長の長女の夫が役員として在籍していたので、いつかは義理の兄が会社を継ぐだろうと思っていました。私自身は、折を見て、ベルベから独立するつもりだったので。 突然の失踪から見えてきた経営状況 ――ベルベの経営状況はどうだったのでしょう。倒産の兆しはあったのでしょうか。 小嶋:経営の情報に関しては社長が一手に担っていたので、社員の私はもちろん、幹部ですら赤字なのか、黒字なのかすらわからなかったようです。石川社長は独善的な人で、すべてを自分