昨年の12月にはじめて言及した赤木智弘が、その後話題になって、いろいろな場所で盛んに取り上げられるようになっている。朝日新聞の論説委員や東大教授(いわば赤木の打倒対象である人々)、さらには公共放送(!)なども、彼を取り上げて「右傾化」や「格差」について語るようになっている。『論座』の編集部の意図は大成功だったと言えるだろう。 ただし、彼の意見や感情が「ロスト・ジェネレーション」を代表するものではないことは、はっきりと指摘しておく必要がある。赤木は既存の「左翼」を念頭において発言しているが、圧倒的多数の若年フリーターは論壇誌を手に取ることなどまずないし、はっきり言って「左翼」「右翼」とか知識も関心もない。ただ、今の苦しい生活が「ぶっ壊れて」ほしいと漠然と思っているだけである。自分たちで「ぶっ壊す」と考えるほど向上心もバイタリティもないし、「ぶっ壊す」方法も知らなければ、そうした組織と関わる経