遺言状をつくったり企業の定款を認証したりする公証役場の公務員「公証人」をめぐり、民間からの登用が、公募制度の開始から16年間で4人にとどまっている。全国の公証役場で働く公証人の採用はこの間、千人以上にのぼった模様だ。この4人以外は、公証役場を所管する法務省や、同省と関係の深い裁判所の出身者が占めた。 遺言状の需要が増える一方、公証人は定員割れが続く。法務省の登記所適正配置対策室は「民間登用が少ないことは問題と思う。増やす方法を今後検討したい」。日本公証人連合会は「コメントはない」としている。 公証人は裁判官や検察官の経験者らが長らく占めてきた。「再就職先」との批判を受けた規制緩和の一環で、法務省は2002年度から、司法書士、企業の法務担当者ら民間人に門戸を開く公募選考を始めた。弁護士も、より積極的に登用する方針を示した。 だが、法務省によると、門戸…
政府は、株式会社の設立にかかる期間を今の10日から1日に短縮できるようにする方向で最終調整に入った。登記に必要な公証人による定款のチェックを、今の直接面談からスマホやパソコンでも受けられるようにオンライン化する。手続きを簡素化して起業を促す狙いで、6月にまとめる新たな成長戦略に盛り込む。関連法の改正も検討する。 株式会社の設立には、まず会社の目的や組織など基本的なルールを決める定款について、公証人の認証を受ける決まりだ。詐欺や資金洗浄など犯罪の「隠れみの」に使われるのを防ぐためで、起業家が公証人役場に出向いて直接チェックを受けている。今は依頼から1週間ほどかかる。 見直し案では、起業家が役場にいかずにスマホやパソコンの画面を通じて公証人と面談できる。手数料5万円は変わらない。認証後の法務局への設立登記手続きも、同時並行でオンラインで済ませられるようにし、24時間で登記できる。 日本の全ての
土地の名義人が亡くなった後、相続人が相続登記をしないまま長年放置される土地が少なくない。子や孫の代になると相続人が増えていき、いずれ売ることも、だれかが相続することもできない「塩漬け」の土地になりがちだ。登記を促そうと政府も対策に乗り出しているが、解決への道のりは遠そうだ。 「カスみたいな土地。相続登記するメリットがない」 宮城県角田市の男性(55)は、広島県三原市にある山林など計76平方メートルの土地を持て余している。2年前に亡くなった親族が持っていた土地で、男性は法定相続人の1人だ。だが、その土地は1908(明治41)年に登記されたまま放置されている。 仮に相続人全員の同意を得たとして、男性が相続登記しようとすれば、登録免許税や司法書士への手数料など少なくとも5万円程度はかかるとみられる。見に行ったことすらなく、利用価値を感じない土地の登記に、それほどのお金をかける気にはなれないという
負動産時代 人口は増え、不動産は価値を持ち続けるという「土地神話」を前提とした日本の土地制度が曲がり角を迎えている。地方や都市郊外を中心に、資産価値を失って処分に困る「負動産」が広がる中、国も対策に乗り出しているものの、課題は山積みだ。土地制度をめぐり対応を迫られている課題や見直しの動きを考える。 いらなくなった土地を国に引き取ってもらおうと、国を相手に裁判を起こした男性がいる。 民法には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」(第239条)との規定がある。だが、どんな場合に国庫に帰属するかという基準はずっとあいまいだった。「土地は捨てられるか否か」が直接争われた珍しい裁判となった。 訴えを起こしたのは鳥取県米子市の司法書士・鹿島康裕さん(41)。2014年、島根県安来市の山林約2万3千平方メートルを父親から生前贈与された。その3週間後、鹿島さんは山林の所有権を「放棄する」とし、所有者のい
「新幹線が通る」などとだまし、山林などを不当な高値で買わせる原野商法が社会問題化したのは1970年代。買わされた土地を所有する当時の被害者らが今、「山林を高値で買い取る」などと持ちかけられ、またお金をだまし取られる「二次被害」が広がっている。国民生活センターなどには昨年度1千件を超える相談があり、「お金を払う前に家族や専門家に相談を」と注意を呼びかけている。 「土地を活用する予定はありますか。なければ、私たちに売らせて下さい」 東京都足立区の会社員男性(53)の母親(83)は昨年10月、横浜市内の不動産仲介業者を名乗る男から電話を受けた。 男性によると父親は1970年代はじめ、「首都移転の計画があり、地価が高騰する」と、うその説明にだまされ、栃木県那須町の原野(約170平方メートル)を350万円で買っていた。 父親の死後、土地の名義人になった母親は「ただ同然の土地が少しでもお金になるなら」
東京法務局に勤務していた元職員が2006年から約10年間にわたり、登記申請書に貼り付けられていた総額約4億7千万円分の収入印紙を着服していたことがわかった。同法務局が15日、発表した。警視庁麴町署に業務上横領の疑いで刑事告発しているという。 同法務局によると、天野直樹元事務官(63)。同法務局の民事行政部や墨田出張所などで勤務していた06年1月~16年12月、計2778件の登記申請書に登録免許税として貼られていた収入印紙を、消印を押さずにはがして横領した。別の申請書から押印済みの収入印紙を切り取り、差し替えていたという。 同法務局は昨年12月、内部調査で不正が判明したとして、天野元事務官を懲戒免職処分とした。その後の調査で過去10年間、同様の行為を繰り返していたことが判明。元事務官は調査に対し、不正に入手した印紙を金券ショップで換金したことを認め、「借金の返済やギャンブルに使った」と説明し
土地神話が崩壊し、市場価値が大きく下がった不動産にも固定資産税などの税金はかかる。物件の価値に比べ税金が重すぎると感じている人も少なくない。読者からの情報をもとに、二つのケースを取材した。 千葉県のJR我孫子駅から徒歩6分の場所に、塀に囲まれた広々とした敷地(約700平方メートル)がある。自営…
東京湾に、住所が定まっていない島がある。東京都の「中央防波堤埋め立て地」。江東区と大田区が「自分の区のもの」と帰属を争い、18日、都に調停を申し立てた。どんな場所なのか。 平日の夕方、東京・お台場から南東に車で5分。トンネルを抜け、工場や都の庁舎が立ち並ぶ島の一角についた。唯一の公共交通であるバス停には帰宅する人の列ができ、羽田空港離着陸の飛行機が上空を飛ぶ。住所の表示は見当たらない。 都庁舎付近の交通整理を担当する警備員男性(62)は、島にある建物の住所がないため、島内で迷う人をよく案内するという。「初めての人にはわかりづらい。(帰属が)早く決まるに越したことはない」 島内にある会社には、訪問客から「カーナビで検索できない」と電話がかかってくるという。従業員は「不便といえば不便」。日本郵便によると、新設された建物への郵便物は周辺で聞いて回るなどして配達しているが、受取人が判明しない場合は
不動産会社への売却が決まっていたマンション用地の相続をめぐり、所有者が亡くなる直前に売買契約を解除したように装い、申告額を減らしていたとして、東京国税局が遺族に約13億円の遺産隠しを指摘したことがわかった。本来は売却金額で申告すべきだったが、解約によって低い土地の評価額で申告し、差額分を相続財産から不当に減らしたと認定したという。 追徴課税は重加算税を含めて約8億円とみられる。一方、遺族側は課税を不服として国税不服審判所に審査請求した。 関係者によると、問題となったのは、JR東小金井駅(東京都小金井市)前の約3千平方メートルの土地で、同市議を6期務めた土屋一治氏が所有していた。 土屋氏は、2014年5月にこの土地を都内のマンション開発会社に売却する契約を結び、同年10月に92歳で死去した。契約金額は22億円前後とみられる。死亡した時点で開発会社からの支払いは完了していなかった。 土地の相続
相続未登記などで所有者が分からなくなっている可能性がある土地の総面積が、九州より広い約410万ヘクタールに達するとの推計結果を、有識者でつくる所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也元総務相)が26日公表した。こうした土地の増加は、森林の荒廃や土地取引の停滞などにつながるとして、研究会は年内に対策案を政府に提言する。 研究会は、名義人の死亡後も相続登記されなかったり、住所が変わって名義人と連絡がつかなくなったりしている土地を「所有者不明土地」と定義。国土交通省の地籍調査や人口動態などを加味して推計したところ、所有者不明土地の総面積は、九州の面積(368万ヘクタール)を上回った。 土地の筆数でみた所有者不明率は20・3%となり、土地の種類別では宅地が14%、農地が18・5%、林地は25・7%だった。全国約10万筆を対象に、最後の登記から50年以上が経過し、所有者が不明になっている可能性がある
政府は、相続登記されないまま所有者が分からなくなっている土地を、公的な事業に利用できるようにする制度づくりに着手した。「資産価値がない」などの理由で放置される不動産が増え、防災や都市計画の妨げになるケースが出てきているためだ。 安倍政権が近くまとめる「骨太の方針」に盛り込む。来年の通常国会への関連法案提出に向け、国土交通省や法務省が具体的な検討を進める。 不動産登記簿に相続登記がされないままの土地について、道路や公園の整備、再開発事業といった公的な目的のためなら、所有権をそのままにして利用できる仕組みをつくる。地方自治体が土地の「利用権」を設定できるようにすることなどを検討する。 道路などができた後に所有者が現れた場合に金銭補償をどうするのか、利用権の期間や公共目的の範囲をどう設定するのか、といった課題についても今後、詰めていく。 行政が、公共事業などを進める…
黄檗(おうばく)宗「安城寺」(松山市)の施設建て替え計画に伴う融資を焦げ付かせ、債権者に損害を与えたとして、大阪地検特捜部は5日、住職の片井徳久容疑者(56)=同市朝美2丁目=を背任の疑いで逮捕し、発表した。特捜部は11月17日に寺などを同容疑で家宅捜索し、押収資料を分析するとともに、片井容疑者らから任意で事情を聴いていた。特捜部は認否を明らかにしていない。 捜査関係者や発表によると、片井容疑者は2012年1月ごろ、寺の施設の建て替えに際し、大阪市の不動産会社から寺に1億5千万円を融資する契約を締結。期限内に返済しなかった場合、片井容疑者や寺が所有する複数の土地や建物の所有権を同社に移転登記する内容になっていた。 その後、返済は滞り、不動産会社が14年5月23日、法務局に不動産の所有権移転の登記を申請すると、片井容疑者は同29日ごろ、法務局にうその書類を提出。申請を却下させて移転登記を妨害
成年後見人として預かった高齢者の財産を着服するなど、弁護士の不正が相次いでいることを受けて、日本弁護士連合会が被害者に見舞金を支払う制度を創設する。経営に苦しむ弁護士の増加が背景にあるとみており、「市民の信頼低下を防ぐことが急務」との考えだ。早ければ来年4月にも導入する。 成年後見人は、認知症などで判断力が十分でない人に代わって、親族のほか弁護士や司法書士などの「専門職」らが財産を管理する。最高裁によると、「専門職」が後見人として財産を着服した不正は、昨年1年間に37件で、2010年に調査を始めて以来、最多だった。被害総額は1億1千万円にのぼったという。 後見人以外でも、弁護士が依頼者の財産を着服するケースが続発。大阪地裁では今年3月、顧問先から預かった総額5億円を6年にわたって着服した弁護士に懲役11年の実刑判決が言い渡された(弁護士は控訴)。 背景には、弁護士数の急増(8月1日現在で3
過去4度の日本一に輝いている京都大学アメリカンフットボール部が今月中旬にも一般社団法人設立の申請をすることが1日、分かった。大学スポーツ界に一石を投じる取り組みといえそうだ。 これまでは資金面でOB会費や後援会費に頼っていた部分が大きかったが、法人化することで経理・財務面の透明化を図り、企業とのスポンサー契約締結や寄付金集めにつなげたい考えだ。長期的な自主財源を獲得し、これらの資金を指導者の雇用やクラブハウスの整備、選手強化にあてる狙いもある。法人として登記されると、団体名義で銀行口座が開設できる。 京大アメフット部が設立するのは非営利型の一般社団法人で、代表理事には部のゼネラルマネジャー(GM)を務める三輪誠司氏が就く予定。一般社団法人は社員2人から設立し、法人も社員になれる。対外的な信用を最大限に高める狙いもあり、「国立大学法人京都大学」が社員に名を連ねる。 京大アメフット部はスポーツ
北海道警は23日、札幌弁護士会所属の弁護士平岩篤郎容疑者(39)=札幌市中央区南2条西8丁目=を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。 札幌厚別署によると、平岩容疑者は1月5日、SNSで知り合った知人から紹介された同市北区の女子中学生(14)と、同市中央区のホテルでみだらな行為をした疑いがある。道警のサイバーパトロールで発覚した。平岩容疑者は2006年に弁護士登録した。
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