双葉町に行ったら、この目で見ておきたい場所が2つあった。1つは言うまでもなく双葉町にある福島第一原発である。これまでに20キロゾーン(立ち入り禁止区域=警戒区域)に入るたびに、できるだけ近くにまで行ってその姿を見ようとしてきた。自分の線量計で放射線を測ろうとしてきた。だが実現しなかった。案内してくれた人が怖がったことがある。あまり動き回ると警察に見つかって逮捕される恐れもあった。 これまで被災地を歩き、避難民を訪ね回って思った。これだけの破滅的な災厄をもたらしたモンスターは、一体どんな姿をしているのだ、と。 もう1つは「双葉厚生病院」だ。原発から3キロのところにある、農協系の病院である。 ここは3月12日午後3時、双葉町から避難する最後の人たちが出発したところである。その最中に1号機の水素爆発が起きた。テレビで映像の流れた最初の爆発だ。そのとき、この病院にはまだ入院患者や医師、病院職員など