権威主義の概念について確認し検討してゆきたい。このところの政治空間の議論では、民主主義と権威主義の二項対立で世界を説明する思考が確立し、その観念が広く常識化して定着している。その構図を元に中国叩きに血道を上げるという政治的な空気が、右翼やマスコミだけでなく左翼リベラルでも一般化している。民主主義=米国=正義、権威主義=中国=悪という図式が公理として受け入れられ、大衆に確信され、あらゆる政治論評や政策判断の基礎になっている。そうした思想状況になっている。嘗ての認識と理解では、民主主義の対立概念は全体主義であり、民主政治の対義語は独裁政治だった。だが、そうした政治上の通念に変容が起こり、権威主義という語が悪玉範疇・敵性範疇として強力に浮上し、自分たちが所属する民主主義陣営と対立する政治属性として強調され意識されている。権威主義の言葉に私は違和感があり、米欧日を正当化する工作言説ではないかという