川崎重工業(神戸市中央区)は30日、25年ぶりに建造した高速旅客船ジェットフォイル(JF)を、発注元の東海汽船(東京)に引き渡す。主に本土と離島を結ぶ航路に使われるが、需要が限定されるため、今回の建造まで四半世紀の空白が生じた。中韓勢との受注競争が激しく、川重は国内建造を高付加価値の特殊船などに特化。JFもその一環で、再開ではさまざまな技術上の困難を克服した。引き渡しを前に、復活への舞台裏を関係者に聞いた。(長尾亮太) 川重は1987年、開発元の米ボーイングからJFの製造販売権を取得。95年までに15隻を建造し、離島航路の需要を満たしたため建造を止めていた。しかし2005年前後から、老齢船の更新に備えて運航各社から建造再開を望む声が上がった。 「船体が小さいのでどんな港にも着岸しやすく、荒波でも安定して進める高速船はJFしかない」(佐渡汽船の担当者)。建造技術や部品調達網を保持したい川重も