家庭料理は、外食では食べられない尊い料理 ──稲田さんが料理に興味を持つようになったきっかけを教えてください。 稲田さん:両親が料理好きでした。外食でいろいろな料理を食べるようになり、自分でも料理をするようになった今、思い返すと割と手の込んだ料理が食卓に並んでいましたね。そんななかで、自分も子どもながらに料理をするようになりました。かたちのないところから何かを生み出す感覚が楽しかったんです。 そこから料理が仕事になるわけですが、本質的な気持ちは何も変わっていませんね。 祖母から母、自分へと受け継がれた「煮しめ」 ──幼少期のご自宅の食卓にはどんな料理が並んでいたのですか? 稲田さん:麺より野菜が多い塩焼きそば、祖母直伝の煮しめなど本当に何気ない家庭料理です。そういう家庭料理って、実は外食では食べられない料理でもあるんですよね。つまり、家庭料理ならでは価値がある。そのことに気づいてから、外食