いつの間にか下火になっていたingress熱は、気がづいたら再び燃えていた。くすぶっていた薪にふうふうと息を吹きかけると炎がちらつくのと同じように。果たして吹き入られた空気が何だったのか。よく分からない。 今日は朝から街へ出かけ、乱立する青ポータル群を焼き払い、緑ポータルのリンクをつなげた。XMPバスターのエネルギーは周囲を揺るがし、突き刺したレゾネータの鼓動は大地に響いた。生成された多重CFの光は冬の晴れた空にどこまでも広がっていった。そんな日だった。 画面上のXM残量は、決してスマホのバッテリー残量ではない。バッテリーは周囲のエネルギーによって回復はしない。二時間ほど遊んでいると電池がきれかけていたため、近くの喫茶店に避難した。いつものコーヒーを頼みカップを持つと、窓際のカウンター席に移動する。荷物を下し椅子へ腰掛けると、テーブル下のコンセントでスマホを充電する。モバイルバッテリーを買