経済産業省の代表として筆者もその策定に関わった平成20年度政府経済見通しでは、07年度の実質成長率は1.3%と5年ぶりに1%台前半の低水準となる見込みである。若干技術的だが、07年度成長率の発射台(いわゆる「成長率のゲタ」)が1.3%であったことを考えると、これは実質的なゼロ成長を意味する。こうした低成長はもちろん改正建築基準法の施行による影響が大きいが、日本経済は単なる官製ショック以上の変調に直面している。08年度の成長率は2%となる見通しだが、建築着工の正常化により住宅投資が数字の上だけ大きく伸びるという特殊要因を除くと、1%台後半の伸びに留まる。こうした力強さを欠くシナリオは民間エコノミストのコンセンサスとも近い。 そもそも、今回の景気回復の源泉は好調な世界経済を背景とした輸出増加である。これによる企業収益の増加が設備投資と雇用の拡大をもたらし、雇用環境の改善は家計の所得と消費の伸び