重症コロナ患者に届いた出勤命令 2020年9月、アン・カスティーリョはアマゾンから、不可解なメールを受け取った。彼女の夫は同社で5年間働いており、直近の勤務地はニューヨーク市への物流拠点となるスタテン島にある巨大倉庫だった。 カスティーリョは自分の目を疑った。そのメールでは、夫が夜勤に戻るよう求められていたが、42歳になる夫のアルベルトは春に残業を連日強制され、同倉庫から初めて出た新型コロナウイルス陽性反応者の一人だったのだ。熱や感染に苦しみ、脳にも大きな損害を受けた。
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iPhone依存からの脱却 ティム・クックの支持者は、彼がアップルの企業文化そのものを変えたと主張する。アップルの年間売り上げは、クックがCEOに就任した2011年の1080億ドル(約12兆3000億円)から、10年後の2021年には3650億ドルに膨らんだ。純利益はこの10年で260億ドルから3.7倍の950億ドルに上る。 しかしそれ以上に重要なのは、クックがアップルのエコシステムの全収益を振り向けて、巨大なデジタルサービスを構築したことだ。アップルはApp Storeや、クックが拡張したデジタルサービスの約8億人のユーザー利用料によって、安定した収益を得られるようになった。その結果、同社はiPhoneへの依存度を大幅に引き下げ、株価収益率(PER)は10年前の3倍に達した。 「ティム・クックの最大の功績は、各種デジタルサービスを開拓して、成長させたことです。投資家もアップルは劇的に変わ
1日1マイル(1.6km)のランニング継続で人生はどう変わるのか? 近年、市民ランナーの間で「ストリーク」の人気が高まっていると、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。 ランニングにおける「ストリーク」とは、1日1マイル(1.6km)以上のランニングを毎日続けることを指す。走る距離も場所もペースもその人次第。1日1マイル(1.6km)以上であれば、10分でも1時間以上でも構わない。その日その時の体調に合わせて、好きなペースで走れば良い。 要するにストリークとは、とても個人的な挑戦であり、自分との約束であり、とにかく2週間でも1ヵ月でも自分で決めた期間を「毎日続けること」、自分に責任を持つことに意味がある。
35歳の若さで台湾の蔡英文政権に入閣し、デジタル担当大臣としてのコロナ対応も担うオードリー・タン氏。迅速なコロナ対応が話題となったが、中東メディア「アルジャジーラ」のインタビューに語ったのは、コロナ以上に深刻な課題だった──。 ──台湾でのコロナ対策は世界的に見ても迅速でした。コロナの「接触履歴追跡システム」の開発など、デジタル面でコロナ対策にどのように関わったのでしょうか。 私の力というよりも、「g0v」(gov zero:市民社会や政府のプロジェクトに取り組む活動家のオープンソース運動)のコミュニティの成果物の一つです。ポイントはアプリを使わないシステムにしたことです。台湾では、高齢者を含む大半の人が、携帯電話やスマートフォンを持っています。しかし、およそ2割の人がアプリをダウンロードしてインストールし、使いこなすスキルを会得していません。 そのため、国内で最もポピュラーなコロナ対策ア
フランスの経済学者トマ・ピケティが2013年に発表して世界中の注目を集めた『21世紀の資本』は、かの「クズネッツ曲線」を提示したサイモン・クズネッツのテーゼを完全に覆し、長期的に資本収益率(r)が経済成長率(g)を上回る(r>g)以上、資本主義を放置すれば必然的に経済的不平等が拡大するということを、広範な歴史的データを駆使して実証した本だった。 そのピケティが、2019年9月に『資本とイデオロギー』を上梓した。この新著が、前著にもまして夥しい資料を引いて明らかにするのは、主として、世界のどの地域を見ても、どの時代に着眼しても、経済的不平等が維持されるのは自然の成り行きではなく、それを正当化する物語やイデオロギーの神話的効果にほかならないという事実だ。ピケティは、とりわけ19世紀の西洋先進国における私有財産の聖域化を厳しい眼で考察している。 しかし、この本は、異例の大著だった『21世紀の資本
カナダのオンタリオ州で、米アップル社が発売している紛失防止のガジェット「エアタグ」を使った窃盗事件が急増している。これをうけ、ヨーク地方警察の自動車・貨物窃盗部隊の捜査官が注意喚起している。 米紙「ニューヨーク・ポスト」の報道によると、被害にあった車の多くは、ショッピングモールや公共の駐車場内の“人目につかない場所”に駐車されている高級車だった。 犯人グループは、駐車されている車にエアタグを装着。持ち主が車で帰宅するタイミングを狙い、エアタグの追跡機能で家を特定したあと、私道で堂々と犯行に及んでいた。 また、犯人は車のエンジンの点火装置であるイグニッションをハッキングして車を盗んでいるが、この時に使用される電子機器は、整備士が車を工場から出荷する際に使用するデバイスだといい、巧みな犯行手口が明らかにされている。
2014年の「ルクセンブルク・リークス」、2016年の「パナマ文書」、2017年の「パラダイス文書」、そして今回の「パンドラ文書」。オフショア金融に関する120万件近くの内部文書が新たに流出して発覚したのは、超富裕層の大規模な租税回避がいまだに続いている実態である。 ときおり正反対のことを言う人もいるが、この10年で状況が改善していることを示す信憑性のある証拠は一切ない。 今年の初夏、調査報道を専門とする米国のニュースサイト「プロパブリカ」によって米国のビリオネアたちがその莫大な富に比してほとんど納税していないことが明らかにされた。一般の米国民と比べても米国のビリオネアたちはほとんど納税していなかったのだ。 ビジネス誌「チャレンジズ」によるとフランスの上位500人の超富裕層の資産は2010年の2100億ユーロから膨れ上がり、2020年には7300億ユーロを超えたということだが、ここでも超富
米軍トップの統合参謀本部議長として湾岸戦争を指揮し、9.11テロを受けたブッシュ政権下では国務長官を務めたコリン・パウエルが10月18日に死去した。統合参謀本部議長も国務長官もアメリカの歴史で黒人が就任したのはパウエルが初めて。人種の壁を打ち砕いた先駆者として名を残しただけでなく、党派を越えて敬愛された稀有な指導者だった。 そのパウエルが亡くなる3ヵ月前に、著名ジャーナリストのボブ・ウッドワードがインタビューしていた内容が米紙「ワシントン・ポスト」に掲載された。闘病生活、妻への思い、アフガニスタン、北朝鮮などについて率直に語っている。 多発性骨髄腫とパーキンソン病 死期が迫っていても、コリン・パウエルはまだ戦闘態勢だった。 「多発性骨髄腫を患っているし、パーキンソン病でもある。でもそれ以外は大丈夫だよ」 パウエルは7月のインタビューでそう語った。 「なんてことだよ。気の毒に……」と私が言う
イタリアで19世紀の詩を題材にした女性像のシースルードレスが物議を醸している。 銅像の除幕式は先週末に南部カンパニア州サプリで執り行われ、ジュゼッペ・コンテ前首相も出席した。女性像は、イタリアの歴史的詩人ルイジ・メルカンティーニの詩「La Spigolatrice di Sapri」に敬意を表したもので、彫刻家のエマニュエル・スティファノが手掛けた。 しかし、ベールを脱いでお披露目された女性像がまとっていたのは、肌があらわになった透け透けのドレスで、女性の政治家たちから非難の声が上がっていると、英紙「ガーディアン」が報じている。 La statua appena inaugurata a #Sapri e dedicata alla #Spigolatrice è un’offesa alle donne e alla storia che dovrebbe celebrare. Ma c
スマホやタブレットによって、瞬間的な満足をただちに得られるようになった現代。同時に、SNSやポルノ、オンラインゲームなど、デジタル機器による依存に悩む人の数も激増している。 もはや日常に欠かせなくなったこれらのデジタル機器と、健全な距離を保ちながら生きるにはどうしたらいいのか? スタンフォード大学の精神科医であり依存症のエキスパートであるアンナ・レムキに、英紙「オブザーバー」が聞いた。 数分おきにスマホを触ってしまう記者 アンナ・レムキ医師は依存症研究の世界的権威であるが、そんな彼女が今、私の「スマートフォン問題」を心配してくれている。 インタビュー中、私はつい彼女に打ち明けてしまったのだ。自分が不健康なほどiPhoneを気にしており、ほとんど衝動的に、それを数分おきにチェックしてしまう、と(よくある話だろうか?)。 レムキはそういう状態を許さなかった。スマートフォンを鍵のかかる引き出しに
「ガーデン・ブリッジ」の挫折と「ベッセル」の悲劇 トーマス・ヘザウィックもまた、挫折を経験した人物だ。政治や、委員会と名のつくものは、イヤリングのデザインにめったに関わろうとしない──ランドマークとなる都市計画に関してはなおさらだ。 当初6000万ポンド(約90億円)だったコストが最終的に2億ポンド(約300億円)まで膨れたことで「ガーデン・ブリッジ」計画は打ち切りになった。同じ理由で、ティーズサイドのバイオマス発電所の計画も頓挫した。 物議を醸した米ニューヨークの展望台「ベッセル」は、250億ドル(約2兆7000万円)をかけたハドソンヤード再開発の中心プロジェクトだった。その巨大な宝石を想わせる「どこにもたどり着かない階段」は、完成に漕ぎつけることができた(ベッセルの最終的なコストは約2億ドルで、間違いなく史上最高額の芸術作品だろう)。 ヘザウィックが特に胸を痛めたのは、ガーデン・ブリッ
アフガニスタンで最も有名なムジャヒディンを祖父に持ち、現在はカブール大学で平和学を教える筆者は、「二つのアフガニスタン」を生きてきた。厳格なイスラムを守るためにジハード主義を称えるアフガニスタンと、欧米的な価値観を受け入れるアフガニスタンだ。タリバンが復権した今、どちらの言葉も理解する筆者は、二つのアフガンの懸け橋になるために国にとどまる決意をした。 欧米を憎み、ジハード戦士を夢見た アフガニスタンの首都カブールがタリバンの手に落ちた8月15日、私の父は生放送番組で、タリバンの輝かしい勝利を祝福した。そんな父を見ている間にも、私のスマートフォンには、タリバン兵が殺しにくるのではないかとパニックに陥った友人からのメッセージが次々と届いていた。 私は、欧米諸国とそれが象徴するものすべてを憎むように育てられた。祖父のグルブディン・ヘクマティアルは、アフガニスタンで最も有名なムジャヒディン(イスラ
菅首相の退陣表明を受けて、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が社説を掲載。いわく、自民党は各派閥の「妥協の産物」ではなく、「党内に敵はいても国民に共感できる」リーダーを選ぶべきだと提言する。 最大の問題はコミュニケーション能力の欠如 日本は昔に戻ったような感じがする。菅義偉が在任わずか1年で首相の座を退く決断をしたことで、前任の安倍晋三が8年近く政権を維持したよりも前の時代、6年間で首相が6回も入れ替わった時代が思い出されるのだ。 自民党議員の多くは、総裁選出馬を断念した菅の決断をひそかに喜んでいる。菅の支持率は下落し、自民党は地方選挙で結果を残せていない。衆議院選挙が迫るなか、彼の党、そして彼の国は、異なるタイプの指導者を必要としているのだ。 新首相は困難な課題に直面するだろう。新型コロナウイルスのパンデミックは終息から程遠いところにある。日本ではいまだ1日当たり約2万人の新規感染者が確認
稀代の投資家、ジョージ・ソロスが英紙「フィナンシャル・タイムズ」に寄稿。2019年のダボス会議のスピーチをはじめ、中国を厳しく批判してきた彼が、中国企業に投資をする者たちに警鐘を鳴らした。 中国の指導者、習近平が経済の現実にぶち当たっている。民間企業への締め付けを強化したところ、それが中国経済の足を引っ張る大きな重荷になってしまった。 いま最も危なくなっているのが不動産、とりわけ住宅の分野だ。中国の不動産ブームはここ20年続いてきたが、それがいま終わろうとしている。不動産最大手「恒大集団」は、債務が膨れ上がってデフォルト(債務不履行)の恐れすらある。これが暴落の引き金となる可能性もあるだろう。 根本にある問題は、中国の出生率だ。これが統計で公表されている数字よりかなり低く、大幅に水増しされた数字が公表されているのだ。これは習近平時代の前からあったことだが、習近平が何とかしようとしていろいろ
2021年1月、中国政府は、女々しくなった男子を鍛え、男らしさを身に付けさせるために、小中学校の体育教育を強化すると発表した。中国内では同案に対する強い批判が起きる一方で、「男らしさ」を取り戻すための施策が進んでいるという。 中国男子は「男らしく」ない 英メディア「BBC」によると、中国の教育省は2021年1月、「女々しくなった」若い男性を「男らしく」するため、体育教育を強化すると発表した。そして、そのために体育教師の採用方法も大幅に変更し、スポーツのインストラクターなどを採用するという。 中国政府高官はかねてから、一人っ子政策の下で生まれ、甘やかされてきた中国の男性から伝統的な「男らしさ」が失われ、若い男性のロールモデルがもはや軍にいるような「強い」男ではないことに懸念を示してきた。 今回発表された計画は「若い男性の女性化防止案」と呼ばれ、その発表が中国内で大きな波紋を呼んでいる。同案に
2021年4月、自殺幇助を合法化する法案がフランス議会で審議されたことを受け、公の場ではめったに発言しないフランス人著名作家のミシェル・ウエルベックが口を開いた。結果的に議決にはいたらず審議期限を迎えたこの「安楽死法案」だが、ウエルベックは仏「フィガロ」紙に寄稿し、激しい反対意見を述べている。 命題その1:誰も死にたくはない 多くの人は、生命が完全に失われてしまうよりは、弱っていてもあった方が良いと思うものです。ちょっとした楽しみくらいは残っていますから。生命というものは、いずれにしても「弱っていく過程」と言えるのかもしれません。それに、ちょっとした楽しみ以外の楽しみなど、そもそもあるでしょうか(これは掘り下げて考えてみるべき問題でしょう)。 命題その2:誰も苦しみたくはない これは肉体的な苦しみの話です。精神的な苦しみには魅力があり、美的な素材にもなり得ます。こうした苦しみを奪おうという
『夜のなかでは血すらも黒い』(未邦訳) デイビッド・ディオプ フランス人作家による小説。英語に翻訳され、イギリスで出版された最も優れたフィクション作品に贈られる「国際ブッカー賞」受賞作。第一次世界大戦でフランス軍としてドイツと戦ったセネガル人の兵士、アルファとマデンバは助け合いながら戦い続けるが、ある日、マデンバは重傷を負い、亡くなってしまう。1人残されたアルファは孤独に苛まれるものの戦いにのめり込み、やがて暴力と死を求めるようになる。 『ビッグ・ナンバーの地で』(未邦訳) テ・ピン・チェン 2014年から2018年まで米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に所属し、中国特派員として活動していたジャーナリストによる小説。とある兄弟がテレビゲームで競い合うなか、妹は地下室で共産党政府の暗部を暴露する。政府のコールセンターで働く女性はある日、自分が話している相手がかつての恋人であることに気づ
開幕が迫る東京五輪について、日本でも話題を呼んだ「ぼったくり男爵」の記事を書いた米有力紙「ワシントン・ポスト」のコラムニスト、サリー・ジェンキンスが、このたび再び辛辣なコラムを執筆した。クーリエ・ジャポンはこの最新のコラムを緊急全訳でお届けする。 「安全で安心」催眠術のように繰り返し 東京五輪は安全、それも完全に安全だ。どうしてわかるのかって? フォン・ボッタクリ男爵をはじめとする国際オリンピック委員会(IOC)の大御所がそう断言しているからだ。 それに、IOCが断言するなら信頼できる、そうじゃないだろうか? 大御所方を見てほしい。濃い色のラペル(下襟)に金のピン、縁なしのメガネを身につけていて、とても権威がある。彫像のように不動で強固。生身の人間に似ているのは単なる偶然だ。 IOCに安心感を感じるコツは、彼らの姿勢やプロパガンダを鵜呑みにして、不穏な秘密の裏側の目隠しを無視することだ。世
アップルのティム・クックと、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ──。巨大IT企業を率いる2人のCEOは、プライベートでも仲が悪いことをご存知だろうか。ザッカーバーグはアップル共同創業者の故スティーブ・ジョブスとかつて散歩や食事をしたが、クックとはしていない……。そんな2人の仲違いは、両者の“ある考え方”の違いが浮き彫りになったことで始まった。知られざる裏話をニューヨーク・タイムズが詳報する。 決裂の瞬間 2019年7月、米アイダホ州サンバレーで開催されたハイテク・メディア業界の大物が集う会合で、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)とフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、以前からこじれていた関係を修復しようと参加した。 米投資銀行アレン・アンド・カンパニーが毎年主催する同会合で、両CEOは何年も前から情報交換をしていた。しかしこの当時、フェイスブックは個人情報の流出
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